キャリア・教育

2026.01.01 13:30

日本の農業を愛する新世代の旗手──農業経営者

内藤祥平|農業経営者

内藤祥平|農業経営者

あらゆる職業を更新せよ!──既成の概念をぶち破り、従来の職業意識を変えることが、未来の社会を創造する。「道を究めるプロフェッショナル」たちは自らの仕事観を、いつ、なぜ、どのように変えようとするのか。『転職の思考法』などのベストセラーで「働く人への応援ソング」を執筆し続けている作家、北野唯我がナビゲートする(隔月掲載予定)。


北野唯我(以下、北野今、テーブルの上にあるのは内藤さんたちが手がけているリンゴですね。うちでは毎朝リンゴをむいて、3歳の娘と一緒に食べているんですよ。

内藤祥平(以下、内藤色づきが悪いように感じるかもしれませんが、あえて葉っぱを残して実らせる栽培法です。こうすることで農家さんの負担を減らせて、風味も向上させられます。

「葉乃果(はのか)」内藤氏がCEOを務める日本農業が手がける「葉とらずリンゴ」のブランド。通常の栽培方法ではリンゴの着色を良くするため収穫前に葉を摘むが、この作業をできる限り行わない「葉とらず栽培」を採用。葉に隠れる部分に色ムラができるものの、光合成で得た栄養を果実がしっかり蓄え、濃厚な甘さとジューシーさを実現するという。
「葉乃果(はのか)」内藤氏がCEOを務める日本農業が手がける「葉とらずリンゴ」のブランド。通常の栽培方法ではリンゴの着色を良くするため収穫前に葉を摘むが、この作業をできる限り行わない「葉とらず栽培」を採用。葉に隠れる部分に色ムラができるものの、光合成で得た栄養を果実がしっかり蓄え、濃厚な甘さとジューシーさを実現するという。

北野:現在の主力商品はリンゴですか?

内藤:はい、昨期の売上73億円のうち8割ほどを占めます。そのほかにキウイ、ブドウ、ナシ、さつまいもなど6品目ほど生産・販売していて、徐々にほかの作物の割合が増えているところです。最近では利益率の高い抹茶が大きく伸びていて、新たなビジネスの柱になりそうです。

北野:ここまでの10年、決して平坦な道のりではなかったと思います。苦労したのはどの時期でしたか。

内藤:ひとつは創業当初です。全国をオンボロのクルマで回って、3カ月目でようやく最初のお客さんが見つかりました。少しでもビジネスが前に進むと楽しくて仕方ないから、あまり大変だとは感じませんでしたね。これまで日本のリンゴを扱っていなかったタイのスーパーに青森から初めて出荷するため、5トンのリンゴを満載したコンテナを港で送り出した光景も今では楽しい思い出です。

北野:ゼロイチのときはハイになりますよね。

内藤:精神的にキツかったのは、事業がなかなか伸びない停滞のタイミングでした。創業から1年後の売り上げが8億円くらいで、そのあと倍々で伸びるかと思いきや、翌年が10億ちょっと。そこから3年ほど足踏みの時期がありました。

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文=神吉弘邦・北野唯我(5ページ目) 写真=桑嶋 維

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