2025年12月10日、米トランプ政権は「トランプ・ゴールドカード」の受付を開始した。同年2月に発表した当初は「500万ドル(約7億7500万円)の支払いで米国永住権が手に入る」という触れ込みだった。

しかしその後、支払い額は100万ドル(約1億5500万円)に変更。正確には、申込時に事務手数料として1万5000ドル(約234万円)を支払い、審査を経た後に100万ドルを支払うので、計101万5000ドル。それだけの金額を米国に支払えば、これまでの永住権取得に比べて「記録的な速さで米国の永住権を取得」できると謳っている。
とはいえ、当初発表の「500万ドル」という高額の支払い額をあきらめたわけではないようで、ゴールドカードとは別に「トランプ・プラチナカード」も公式サイト上では予告されている。
こちらは、1万5000ドルの事務手数料に加えて500万ドルを支払えば、年間で最大270日間、米国に滞在できる。おや、100万ドルのゴールドカードより滞在できる期間が短い? と思うかもしれないが、プラチナカードには滞在期間より大きな特典がある。「米国外の所得に対して米国の税金は課されない」という点だ。
実は、これまで米国に長期滞在する富裕層には、永住権の取得を意図的に避けてきた人が多い。一旦、永住権を取得してしまうと、全ての所得を米国に申告し、米国に税金を納める必要がある(日本など租税条約を結んだ国の場合、二重課税は避けられる)からだ。
世界各国で所得がある富裕層にとっては、米国に総所得を把握されることを避けたいわけだ。2025年2月にトランプ大統領がゴールドカードを発表した際にも、一部では「お金持ちほど永住権を欲しがらないのに」という声があがっていた。
そんな声が届いたのかどうかは定かではないが、米国外の所得への税金免除で長期滞在できるプラチナカードは、富裕層には「刺さる」ニュースだった。「トランプ・プラチナカード」は、現在、ウェイティング(待機)リストへの登録を受け付けている。



