サイエンス

2025.12.19 18:00

恐竜絶滅後の世界を支配した全長13mの史上最大のヘビ「ティタノボア」

史上最大のヘビティタノボア・セレホネンシス(Shutterstock.com)

ティタノボアがヘビの進化について教えてくれること

ティタノボアが発見されるまで、古生物学者たちは、ヘビが極端な巨体に進化したのはずっと後の時代だと考えていた。だが、この大蛇の化石により、定説は覆された。ティタノボアの解剖学的特徴からは、以下のことが示唆された。

advertisement

・この種がボア科の系統に属し、現生のボアやアナコンダと近縁であること
・この種が現生の半水生の絞め殺し型のヘビに見られるような水生適応を備えていたこと

ティタノボアは、長年にわたる1つの謎に答えを示した。現生のヘビには、なぜこのような巨大な種がいないのだろうか──そして、答えの鍵を握るのはまたしても気候だった。現代の熱帯は、ティタノボアのような巨大な外温性動物の代謝需要を支えられるほど暖かくないということだ。ティタノボアは、常に高温で、季節変動が小さい環境を必要とした。こうした気候条件は、現在の地球にはもはや存在しない。

このことはまた、ティタノボアのような並外れた大蛇が、現在の生態系のどこにも存在し得ないことを意味する。どれほど温暖な土地でも、暁新世の高温環境には及ばないからだ。

advertisement

数千万年の間に、地球の気温が大幅に低下するなかで、巨大な外温性動物は一様に減少していったことが知られている。かつて巨大だったワニ、カメ、ヘビは、揃って小型化していった。

それでも、ティタノボアが示す教訓は重要だ。仮に地球の気温がこのまま上昇を続ければ──あるいは、現在の上昇ペースがさらに劇的に加速すれば──、かつて巨大爬虫類を生み出した生態学的法則が、再び適用されるかもしれない。ティタノボアが復活することはないにしても、外温性動物の巨大化と生態系の激変が、再び繰り広げられる可能性はある。

ティタノボアが生きた時代のコロンビアは、1日の平均気温が摂氏30~34度だったと推定される。現代の熱帯よりもはるかに高い数値だ(stock.adobe.com)
ティタノボアが生きた時代のコロンビアは、1日の平均気温が摂氏30~34度だったと推定される。現代の熱帯よりもはるかに高い数値だ(stock.adobe.com)

forbes.com 原文

翻訳=的場知之/ガリレオ

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事