宇宙

2025.12.18 13:00

太陽系外から来た天体「3I/ATLAS」が12月19日に地球最接近、ライブ観測会も開催

ハッブル宇宙望遠鏡の広視野カメラ3が2025年11月30日に捉えた恒星間彗星「3I/ATLAS」の姿。地球からの距離は約2億8600万km(NASA, ESA, STScI, D. Jewitt (UCLA). Image Processing: J. DePasquale (STScI))

ハッブル宇宙望遠鏡の広視野カメラ3が2025年11月30日に捉えた恒星間彗星「3I/ATLAS」の姿。地球からの距離は約2億8600万km(NASA, ESA, STScI, D. Jewitt (UCLA). Image Processing: J. DePasquale (STScI))

深宇宙から飛来し、太陽系を高速で通過中の恒星間彗星「3I/ATLAS」が、12月19日(金)に地球に最接近する。

今年7月1日にチリ・リオウルタドにある小惑星地球衝突最終警報システム(ATLAS)の望遠鏡によって発見され、「異星人の宇宙船」を疑う声もある3I/ATLASは、2017年に見つかったオウムアムア(1I/2017 U1 ('Oumuamua))、2019年のボリソフ彗星(2I/Borisov)に続く、観測史上3例目の恒星間天体だ。

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3例目の恒星間天体は「史上最古の彗星」か 太陽系より30億年以上古い可能性

「最初で最後」の観測チャンス

3I/ATLASは10月29日に太陽から約2億300万kmまで最接近し、近日点を通過した。12月19日の地球最接近時の距離は約2億7000万km。地球から太陽までが約1億5000万kmあることを考えると、決して「近い」とはいえない距離だが、これが人類にとって観測可能な「最も近い」眺めとなる。

「数十億年にわたり銀河の孤独の中にあった恒星間彗星3I/ATLASは、太陽の温もりにほんの一瞬包まれたのち、19日に地球に最接近する」。米航空宇宙局ジェット推進研究所(NASA JPL)に長年勤めた天文学者で、3I/ATLASのライブ観測イベントを主催するゲイリー・ブラックウッド博士は、このように語った。「銀河系の中心から始まる双曲線軌道を描くこの珍しい訪問者は、このまま太陽系を去り、二度と姿を見せることはない」

「異星人の宇宙船」の可能性はあるのか

米ハーバード大学の天体物理学者アヴィ・ローブ博士は、3I/ATLASが異星人の宇宙船である可能性を指摘する。しかし、この恒星間彗星は、太陽系を周回する彗星と非常に似た挙動を見せている。

(International Gemini Observatory/NOIRLab/NSF/AURA/B. Bolin, Image Processing: J. Miller & M. Rodriguez (International Gemini Observatory/NSF NOIRLab), T.A. Rector (University of Alaska Anchorage/NSF NOIRLab), M. Zamani (NSF NOIRLab))
2025年11月26日にハワイ・マウナケア山に設置されたジェミニ北望遠鏡の多天体分光器(GMOS)が捉えた「3I/ATLAS」の姿。太陽に接近した彗星の氷の核の周囲に形成されるガスと塵の雲「コマ」が確認できる(International Gemini Observatory/NOIRLab/NSF/AURA/B. Bolin)

小惑星プシケ(16 Psyche)の探査に向かっているNASAの探査機サイキと、欧州宇宙機関(ESA)の火星探査機エクソマーズ・トレース・ガス・オービター(TGO)から届いた新たなデータにより、3I/ATLASが加速していることが確認された。これは、天体表面から噴出する気化したガスの噴流(アウトガス)がわずかな推進力を生んでいるためだ。

米国天文学会(AAS)の学術誌Research Notes of the AASに今月掲載された最新研究論文の筆頭著者であるマーシャル・ユーバンクスは、「長基線測位で非重力加速度を測定した。結果は普通の彗星によくみられる典型的なもので、記録的な数値ではない」と宇宙天気情報サイトSpaceweather.comに説明している。研究チームは、3I/ATLASの質量を約48.5t(4400万MT)、半径を約260~370mと推定して試算を行った。

つまり、3I/ATLASは彗星の特徴に合致しており、人工物である可能性をめぐる憶測は払拭される、というのが結論となる。

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史上3例目の恒星間天体「3I/ATLAS」が完全に自然の彗星である論理的な理由

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翻訳・編集=荻原藤緒

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