キャリア

2025.12.25 07:15

若手社会人の6割が上司に黙って生成AIを利用 職場に潜む隠れAI活用の実態

プレスリリースより

生成AIが上司に迫る存在に

興味深いのは、仕事で知識や情報不足に直面したとき、「最初に頼るもの」として「生成AI」(20.9%)が「上司」(24.7%)に迫る水準になった点だ。

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検索エンジン(32.0%)や先輩・同僚(29.3%)と並び、生成AIが日常的な問題解決のツールとして定着しつつある様子がうかがえる。ただし、それが組織として適切に管理された形で使われているかは別問題だ。

教育を受けた人ほど不安が高い逆説

さらに注目すべきは、AI教育と意識の関係を分析した結果だ。

「AI活用に関する十分な教育やトレーニングを提供している」企業の社員のうち、生成AIの進化により「自分の仕事の一部が置き換えられると思う」と回答した人の割合は38.5%。一方、教育を提供していない企業の社員では18.6%にとどまり、教育を受けた人の方が19.9ポイントも不安が高いという逆説的な結果となった。

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形式的な情報提供や、個人の理解度に合わない教育だけでは、かえって不安を煽る可能性があることを示唆している。

一方で、AIを頻繁に利用している人のうち、生成AIの進化が今後のキャリアに「新しいチャンスを生み出すと思う」と回答した人は34.6%で、全く利用していない人(16.4%)の約2.1倍に達した。

実際に使っている人は不安より期待を持ち、教育だけ受けた人は不安が高まる。この対比は、知識の提供だけでなく、実践を通じた学びの重要性を物語っている。

調査結果が映し出すのは、企業が教育体制を整える前に、現場では既に利用が進んでいる現実だ。これは企業側がリスクを把握できていない一方で、若手社員も安心して活用できる環境がないことを示している。形式的な教育で不安を高めるのではなく、実際の利用を前提とした環境を作ることが、成長とリスク管理の両立につながるのではないだろうか。

【調査概要】
調査対象:日本国内で企業に勤める20〜30代の男女535人(男性298人、女性237人)
調査期間:2025年11月11日〜11月14日
調査方法:インターネット調査

プレスリリース

文=池田美樹

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