ライセンスが成長戦略に
ほとんどの企業は、ライセンスを法的な項目だと捉えている。ディズニーはそれを、プラットフォーム戦略として扱う。
利用条件を事前に設定することで、ディズニーは許容範囲と禁止事項を定義する。これにより、露骨なコンテンツを防止してブランド価値を守り、モデルレベルで品質基準を維持できる。AIの悪用に対する最善の防御策はAIそのものだが、それはシステムの内部でガードレールの設定に携わる場合に限られる。
ディズニーはキャラクターのライセンスを供与しているだけでなく、創造が行われるインフラにブランドのルールを組み込んでいる。そこで問われるのは、「どこでどのようなルールのもと、どんな保護策を伴って登場するのか?どう利益を得るのか?」だ。一方で、参画しないという選択肢は、厳しい現実を招くだろう。
ディズニーの戦略が、ブランド戦略の新たな指針となる
ディズニーとOpenAIの提携は、ブランドが実際に何を求めて競っているのかを明確にする。それは認知度ではなく、許可だ。AIプラットフォームやクリエイターツール内に存在する許可。表示されるだけでなく、使用される許可。文化が創造される過程に、参加するための許可だ。
これはもはや、ストーリーテリングやブランド表現だけの問題ではない。次世代のクリエイターエコノミー内で、自社の製品やIP、キャンペーンがどう存在感を示すかという問題だ。ディズニーは確固たる一歩を踏み出した。ミッキーマウスは単に表示されたり、リミックスされたりするだけでなく、創造的ワークフローの一部となっている。
これが今や、ブランドが自らを測る基準となる。AIのシステム内で創造が行われるとき、あなたのブランドはどう関わるのか?人々がただ眺めるだけでなく、構築できるものとしてどのように登場するのか?もしあなたのIPがこうした環境内において有意義な形で活用されなければ、その存在意義は薄れてしまう。
勝利するブランドは最も大きな声を持つものではなく、最も使いやすいものになるだろう。アイデンティティと意味を守るために規律を保ちながら、AIプラットフォームやクリエイターツール内での存在感を高めるために、IPを十分に開放する意思を持つブランドだ。こうした環境では、共鳴は露出ではなく使用を通じて生まれる。参加はもはやオプションではない。ブランドが認知され続けるために不可欠だ。
閉鎖的なインターネット環境に直面するブランドにとって、AIプラットフォームやクリエイターツール内への参加は、知られざる流通戦略なのだ。


