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2025.12.21 17:00

2026年、F1が変わる「5つの転換点」──キャデラックが参戦しアウディやホンダも存在感

2025年7月6日、F1ブリティッシュグランプリのレース(Michael Potts F1/Shutterstock.com)

(4)車体とエンジンの技術規則が刷新、マシンの機敏性と競争力が向上

FIAは通常、F1の技術規則をエンジンかシャシーのいずれか一方について、1シーズン単位で大幅に改定してきた。しかし2026年は、その両方が同時に刷新される。

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2026年型マシンの最低重量は1693ポンド(約768キログラム)となり、2025年から66ポンド(約30キログラム)軽くなる。車体サイズも縮小され、全長は約8インチ(約20センチ)短くなり、ホイールベースは約11フィート2インチ(約3.4メートル)に縮まる。車幅も約4インチ(約10センチ)狭まり、約6フィート3インチ(約1.9メートル)になる。タイヤもわずかに細くなるほか、FIAによると、ダウンフォースは30%、空気抵抗は55%削減される。

こうした新仕様は、マシンの機敏性を高め、コース上での追い抜きの機会を増やすことを目的としている。また、可動式のフロントウイングとリアウイングの使い方に応じて、コーナーでもストレートでもスピードを引き上げられるアクティブ・エアロダイナミクスも導入される。

ただし、シャシーの小型化はチームにとってのデメリットにもなる。スポンサーのロゴを表示するスペースが減ることだ。

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研究開発のリソース増加に伴い、コストキャップ上限を約338億円に引き上げ

新レギュレーションへの移行に伴い、チームが研究開発に追加のリソースを割く必要が生じたため、F1は2026年のコストキャップを2億1500万ドル(約338億円)に引き上げる。2025年の上限は、基本額1億3500万ドル(約212億円)にインフレや年間レース数に応じた調整を加えた結果、およそ1億7000万ドル(約267億円)だった。2021年に導入されたこのコストキャップ制度は、トップチームの予算が4億ドル(約628億円)を超えて膨張していた状況を是正するためのもので、マシンの設計や製造に関わる多くの分野で支出を制限している。

(5)輸送の効率化を目指して日程を組み替え、マドリードで新レースが開催

2026年シーズンの最初の6戦のグランプリは、2025年と同じ日程で行われるが、それ以降はレースカレンダーに変更が加えられる。

レース関連の車両や資材の輸送をより効率化するため、一部の大会は日程が組み替えられる。たとえばカナダGPは、従来の6月から5月へと前倒しされ、マイアミGPの直後に開催される。これにより、夏季にはヨーロッパで9戦が連続して行われることになる。

イタリアのイモラで開催されてきたエミリア・ロマーニャGPは、2025年をもって終了する。その代替として、シリーズはマドリードで新たなレースを開催し、カレンダーを補完する。この変更により、スペインはバルセロナとマドリードの2大会を抱えることになる。一方、マイアミ、オースティン、ラスベガスの3戦を開催する米国は、スペインを除けば、複数のグランプリを持つ唯一の国となる。

F1は2026年もスプリントレースを6大会で実施する。中国とマイアミは継続開催となる一方、ベルギー、オースティン、ブラジル、カタールに代わり、カナダ、英国、オランダ、シンガポールが新たに加わる。

オランダでのグランプリが外れる一方で、複数の国が将来の開催に向けて関心を示す

F1はまだ2027年のレースカレンダーを公表していないが、すでに1つの変更点は明らかになっている。オランダGPは2026年限りでカレンダーから外れる予定だ。新たな開催地としては、ポルトガル、ルワンダ、南アフリカ、韓国が入札に名乗りを上げていると報じられており、将来の開催に向けては、アルゼンチン、ドイツ、ナイジェリア、タイ、トルコも関心を示している。

forbes.com 原文

翻訳=上田裕資

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