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2025.12.21 17:00

2026年、F1が変わる「5つの転換点」──キャデラックが参戦しアウディやホンダも存在感

2025年7月6日、F1ブリティッシュグランプリのレース(Michael Potts F1/Shutterstock.com)

(2)トヨタやアウディなどの新たな名前が、来季のパドックに次々と登場

来季、キャデラックは完全な新規チームとしてゼロからスタートするが、パドックに登場する新たな名前はそれだけではない。まず、トヨタ・ガズー・レーシングがマネーグラムに代わってハースのタイトルスポンサーを務める。また、マクラーレンはマスターカードにネーミングライツを売却した。マクラーレンにとって、こうしたネーミングライツ契約は2013年以来初めてとなる。この契約の規模は年間およそ1億ドル(約157億円)と報じられており、ザク・ブラウンCEOも「マクラーレンがこれまでに結んだ中で最大のパートナーシップだ」と認めている。

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アウディがザウバーを完全買収、2030年までにタイトル争いに加わることを目標に掲げる

大きな変化はまだある。2025年シーズンを「ステークF1チーム・キック・ザウバー」として戦い、2018年から2023年まではアルファロメオの名称で参戦していたチームが、アウディとして生まれ変わる。タイトルスポンサーは、英国拠点のフィンテック企業レボリュートが務める。ドイツの高級自動車メーカーであるアウディは、2025年1月に同チームの完全買収を完了しており、同社のゲルノート・デルナーCEOは2030年までにタイトル争いに加わることを目標に掲げている。これは、2025年のコンストラクターズランキングで9位に終わったチームとしては、かなり野心的な目標だ。

ザウバーのドライバーであるニコ・ヒュルケンベルグとガブリエル・ボルトレート、そしてチーム代表のジョナサン・ウィートリーは、そのまま続投する。ただし、マシンのカラーリングは、方向転換を最も分かりやすく示す要素となる。今季のアシッドグリーンとブラックの配色から、2026年にはシルバー、レッド、ブラックへと一新される予定だ。

アウディのF1コンセプトカー「R26」の発表会でスピーチを行う同社CEOのゲルノート・デルナー(Photo by Daniel Karmann/picture alliance via Getty Images)
アウディのF1コンセプトカー「R26」の発表会でスピーチを行う同社CEOのゲルノート・デルナー(Photo by Daniel Karmann/picture alliance via Getty Images)

(3)自社で製造を行うアウディの参入に伴い、複数チームがエンジンメーカーを変更

ザウバーはアウディへの移行に伴い、フェラーリ製エンジンの使用を終え、2026年からは自社でパワーユニットを製造するフルワークスチームとなる。ただし、体制が軌道に乗るまでには時間がかかりそうだ。アウディF1プロジェクト責任者のマッティア・ビノットは5月、Motorsport.comに対し「2026年に頂点に立てるとは考えていない」と語っている。TheDrive.comは11月中旬、アウディがすでに来季向けエンジンの開発を停止し、2027年と2028年に焦点を移したと報じた。

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フォードやホンダがエンジンを供給開始、パワーユニットの供給体制が全面的に再編

他の複数のF1チームも、エンジンメーカーを変更する。2004年を最後にシリーズから撤退していたフォードは、エナジードリンク大手レッドブルが保有する2チーム、レッドブル・レーシングとレーシング・ブルズへのエンジン供給を開始する。2021年末にF1プログラムを縮小し、レッドブルへの支援にとどめていたホンダも、アストンマーティンのエンジンサプライヤーとしてシリーズに本格復帰する。これに伴い、アストンマーティンはメルセデス製エンジンの使用を終了する。一方、ルノーはアルピーヌへのエンジン供給を打ち切り、アルピーヌはメルセデスからパワーユニットを購入する。また新規参入チームのキャデラックは、2029年に自社でパワーユニットを供給できるようになるまで、フェラーリから部品供給を受ける。

2026年から導入される新レギュレーションの下でも、エンジンは引き続き1000馬力を超えるV6となる。ただし、燃料は合成の持続可能燃料に切り替わり、電動出力は現在のおよそ「内燃80%・電動20%」から、内燃と電動がほぼ50対50に近づく形で、約3倍に拡大される。

次ページ > (4)車体とエンジンの技術規則が刷新、マシンの機敏性と競争力が向上

翻訳=上田裕資

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