ウクライナは海洋ドローンをまず、ロシアによる港湾封鎖の解除や黒海艦隊の艦艇に対する攻撃に投入した。これらの攻撃は、黒海に展開するロシア軍艦艇のおよそ3分の1を無力化することに寄与した。ロシア軍は、残っている艦艇の多くをクリミアから引き揚げ、本土のノボロシースク港へ移転させることを余儀なくされた。
ウクライナ安全保障・協力センター(USCC)のセルヒー・クザン会長は筆者の取材にこうコメントした。「(ウクライナ側が)無人システムを効果的に使用したことで、ロシア海軍は海での主導権を失い、ロシア本土のノボロシースク近辺にとどまることを強いられました。また、こうした成功により(ウクライナから穀物を黒海経由で輸送する)穀物回廊は、ロシアが合意から離脱したにもかかわらず再開し、海上貿易の封鎖は事実上解かれました」
ウクライナ当局によると、一連の作戦による累積効果の結果、黒海でのロシア海軍の行動の自由は根本的に制約されている。ウクライナ国防省情報総局のキリロ・ブダノウ総局長は、ウクライナは事実上、黒海艦隊をノボロシースクの恒久基地に封じ込めていると述べている。
Budanov: Ukraine managed to lock the Russian Black Sea Fleet at its permanent base.
Currently, this is Novorossiysk. The combat fleet does not sail farther than the Novorossiysk roadstead — only to launch missiles and quickly return. 2/ pic.twitter.com/JiFQv9S0ZA— Tymofiy Mylovanov (@Mylovanov) September 8, 2025advertisement
ブダノウによると黒海艦隊の戦闘艦艇は現在、ノボロシースク港内からほとんど出なくなっており、港を出るのはミサイルを発射する場合だけで、発射後はただちに基地に戻っているという。
ウクライナは拡大する海洋ドローン能力を活用し、ロシア本土とクリミアを結ぶケルチ橋をはじめとする高価値のインフラ目標も攻撃してきた。アナリストらは、ケルチ橋に対する今年6月の攻撃にはウクライナの水中ドローン「マリーチカ」が使われたのではないかと推測している。マリーチカは全長6mの多用途攻撃プラットフォームで、最大航続距離は1000kmに達するとされる。
2023年初めまでに、クリミアのセバストポリ港は、ウクライナの海洋ドローンを阻止するため、最大で6重の防護ネットや防材(浮き障害)で守られるようになった。こうした防御は、ロシアがケルチ橋や、ノボロシースクへ移転させた残存の海軍アセットを守るために、対ドローン防御網をクリミア全域に拡大することを強いられたことを示唆する。
米海軍分析センター(CNA)の研究者であるドミトリー・ゴレンバーグは筆者の取材にこう述べた。「この戦争が始まる前は、ロシアが黒海での支配的な海洋勢力と見なされていました。現在はそうではなく、制海権は争われており、当面こうした状態が続くことになるでしょう」


