発射プラットフォームをつぶす
SBUによると、攻撃目標になった潜水艦は、ロシア軍がウクライナの都市などへの攻撃に使用しているカリブルの発射装置を4基搭載していた。この攻撃は、ミサイルなど個々の兵器を迎撃するのではなく発射プラットフォーム自体を攻撃するという、ウクライナの大きな方針に沿ったものとなっている。
こうした方針は、SBUが今年6月に遂行した「クモの巣作戦」にも見てとれる。ロシアの長距離航空戦力を狙った手の込んだこの秘密作戦は、米紙ウォールストリート・ジャーナルによると、ウクライナのボロディミル・ゼレンスキー大統領が、ウクライナの防空システムの射程圏外からミサイルを発射する爆撃機の無力化をSBUに指示したことを受けて構想されたという。作戦は、ドローンをロシア国内へ密かに運び込み、飛行場近くに隠された移動式プラットフォームから発進させるという方法で実行された。
その結果、ロシア軍の戦闘即応態勢にある長距離爆撃機部隊のおよそ20%が行動不能になったとアナリストらは推定している。残りの長距離爆撃機もロシア極東にある遠隔の基地に拠点変更を強いられ、1任務あたりの飛行距離が最大で1万km追加されたとされる。これはロシア軍の兵站を一段と複雑にし、爆撃機部隊の運用コストを大幅にかさませ、老朽化した機体の長期的な摩耗を著しく早めることになる。
ウクライナの「非対称」戦略
ロシアの全面侵攻を受け始めてから、ウクライナは陸・海でのロシア側の数的優位を損なうのに無人システムを頼みにしてきた。米紙ニューヨーク・タイムズの論説委員会は「創意に富むウクライナ軍は、爆発物を積んだ小型の遠隔操縦艇を使って、かつては抗しがたかったロシア黒海艦隊を無力化した」と評している。
2023年以降、ウクライナは軍用水中ドローンへの投資を強化してきた。同年5月、ウクライナ政府系の防衛技術開発プラットフォーム「Brave 1(ブレイブ・ワン)」のイベントで、ウクライナはコンパクトな水中ドローン「トロカTK-150(またはTLK-150)」を公開し、開発努力の方向性をのぞかせていた。ただ、アナリストのH・I・サットンが述べているように「ウクライナ軍はこうした能力を隠したがり、公開するのは自ら選んだものに限られ」てきた。


