サイエンス

2025.12.27 17:00

海の王者から陥落したホホジロザメ、彼らを襲う新たな頂点捕食者

新たな海の王者、シャチ(Shutterstock.com)

シャチが、通常の魚やアザラシではなくサメを狙う理由について、研究者たちはいくつかの重なり合う要因を指摘している。

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・便宜主義と知性
シャチは、非常に柔軟な食性と、適応的な戦略を持つことで知られている。これはつまり、ある群れが高価値の獲物と確実な捕食技術(肝臓の摘出など)を発見すると、その行動が個体や世代を超えて教えられ、繰り返される可能性があることを意味する。

・獲物の入手可能性の変化
気候変動による変化(海水温の上昇、海流の変化、生育場の位置変化など)が、若いサメをシャチがいる海域へと追い込んでいる可能性がある。これにより、両者が遭遇する頻度は自然に増加する。

・リスクが低く、見返りが大きい戦術
シャチは、小型のサメや若い個体を狙うことでリスクを減らしつつ、必要な栄養も確保できる。ひっくり返して気絶させ、食べて捨てるという連携した戦略は、非常に効率的で繰り返し可能だ

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とはいえ、2025年の研究論文の著者らは、データは限られていると警告している。なぜなら、ごく少数の事例しか記述されていないためだ。これが新たな傾向なのか、それとも単なる珍しい便宜主義的行動かは、まだ明らかになっていない。研究論文には、長期的な生態系への影響について結論を出すには、さらなる観察が必要だと書かれている。

頂点捕食者だったホホジロザメを襲うようになったシャチ(Shutterstock.com)
頂点捕食者だったホホジロザメを襲うようになったシャチ(Shutterstock.com)

サメ保護と「頂点捕食者」にとっての意味

長い間、ホホジロザメは海の王者の代名詞だった。海の頂点に立つ存在だ。しかし、これらの新たな発見が、その概念を覆そうとしている。どうやら、最も強大な捕食者にも弱点があるらしい──特に、より知性が高く、社会的に洗練されたライバルに対しては。

環境保護活動家にとって、この新たな発見が持つ意味は複雑だ。シャチは生来の捕食者であり、海洋生態系において正当な役割を担っている。しかし他方で、捕食パターンの変化は、特に若い個体が狙われていることを考えると、ホホジロザメの個体群がただでさえ直面している脅威をさらに悪化させる可能性がある。

しかし、同様に重要なのは、頂点捕食者が行動パターンを変えると、食物連鎖全体が再編されるリスクがあることだ。アザラシ、魚類、さらには海底の昆布林までもが影響を受ける可能性がある。

こうした事態は、生態系の流動性を示すが、それと同時に、「時代遅れの仮定ではなく、実際のデータに基づいた適応的管理」の必要性を強調している。

forbes.com 原文

翻訳=米井香織/ガリレオ

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