福武英明と永田暁彦が語る「アートとビジネス」共創の未来

福武英明(写真左)・永田暁彦(同右)

──特別賞を受賞したベネッセアートサイト直島の取り組みを通じて伝えられるメッセージは?

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福武:実はベネッセアートサイト直島の活動も、長年ベネッセの取締役会で「どんな意味があるのか」と問われ続けてきました。ですが、説明すれば説明するほど、反対の意見が出てくる。抽象度高く答えれば質問もしづらいので、あるときから明確な説明はやめ、ストイックに活動を走らせてきました。

人間、誰だって矛盾を抱えて生きているものじゃないですか。会社になるとどっちか選べとなるけれど、矛盾も内包することでバランスがとれ、それが永続につながります。

また、ベネッセアートサイト直島は3つの組織が担っていて、それぞれ株主、地域、宿泊者と、短期的には見ている顧客が異なる分コンフリクトもある。けれど長期的な共通認識があるから一緒に走れる。そういう生態系のほうが強いと思っています。

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美術館とホテルの一体型施設として1992年に開館したベネッセハウス。世界的なデスティネーションとなった直島で、その宿泊者は海外ゲストが8割を超えるという。
美術館とホテルの一体型施設として1992年に開館したベネッセハウス。世界的なデスティネーションとなった直島で、その宿泊者は海外ゲストが8割を超えるという。

永田:民間企業において、用途が明確な研究開発と研究者の探究心に基づく研究、経済が悪化すると後者が削られるのですが、新規の発明はほぼ後者から生まれる発明が未来をつくるというパラドックスがあります。長期的で説明できないものへの予算を絞ると負のスパイラルに陥るというのは各所で起きています。

ほかの業界で明らかになっているこうしたファクトを、どうアートに置き換えられるのか。ベネッセアートサイト直島でさえ大変だったのは勇気づけになります。まさに今、アートの価値が評価、証明させるプロセスにあり、社会全体がその擬似体験をしているといえそうですね。

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福武英明◎ベネッセホールディングス取締役会長、福武財団理事長。直島・豊島・犬島を中心としたベネッセアートサイト直島のプロジェクトを牽引するほか、ニュージーランドでも投資会社ほか複数の企業を経営する。

永田暁彦◎ユーグレナの未上場期より取締役職を歴任。2021年よりCEOに就任し全事業執行を務め、24年退任。15年にディープテック投資を推進するリアルテックファンドを設立し、24年に同ファンドを運営するUntroD Capital Japan代表取締役社長に就任。

文=鈴木奈央 写真=若原瑞昌

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