経済・社会

2025.12.25 08:30

祝ノーベル経済学賞 独占!モキイア教授 「日本には大改革が必要」 AIが変える未来

ジョエル・モキイア|経済史学者、ノースウェスタン大学教授 (PORTRAIT IMAGE : SHANE COLLINS / NORTHWESTERN UNIVERSITY)

──「有用な知識の成長速度や方向性を決めるうえで、制度は中心的な役割を演じる」と、書いていますね(第7章)。新技術を生むための制度的枠組みとは?

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まず、特許制度だ。ひとたび発明が認められれば、何年も独占的に利益を手にできる。また、革新的発明に与えられる数々の褒賞制度もある。一方、非常に保守的な社会は革新者を異端者扱いし、罰する。制度は、進歩的であればあるほどいい。

また、「自由」も重要だ。革新者が、研究する価値があると思うことを研究できるような自由を最大限に与えるべきだ。

これは容易なことではない。実験の大半は成功しないからだ。成功しない可能性を考えると、研究に自由とリソースを与えにくくなる。だが、重要なのは、人々に研究の機会を与えつつ、成功するとは限らないという事実を事前に認識させることだ。

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──制度の違いで、自然探求に向かう国と、応用面を追求する国に分かれるそうですね(第7章)。日本は基礎科学に強い半面、応用力が弱いため、経済成長につながりにくいのが難点です。

私は日本経済史の専門家ではないが、歴史を振り返ると、日本は奇跡的な経済成長を遂げてきたことがわかる。

日本はその昔、(鎖国政策下で)外国に背を向ける内向きの国だった。だが、1853年の黒船来航で始まった明治維新を経て、世界に人材を送り出し、西洋の技術や科学を学んだ。これは、まさに制度改革の代表例だ。大変革には制度改革が伴う。

そして、日本は工業国へと変貌し、同じアジアでも、フィリピンなどの国々とはまったく違う国になった。日本は、優れた制度が経済成長につながることを示す見本だ。東アジアの成功は、経済発展と技術進歩にとって制度がいかに重要かを示す好例だ。

ひるがえって、過去20年間の日本経済となると、話は違ってくる。たぶん、日本には新たな大改革が必要なのだろう。日本経済を1年間研究しないと、具体的には言えないが、現行制度を変えるような改革が必要かもしれない。


ジョエル・モキイア◎1946年生まれ。米国およびイスラエルの経済史家。ノースウェスタン大学経済学、歴史学教授。イェール大学で経済学博士号。2025年、「技術進歩を通じた持続的成長の前提条件を特定した」功績により、フィリップ・アギヨンとピーター・ホーウィットとともにノーベル経済学賞を共同受賞。

インタビュー=肥田美佐子 イラストレーション=ジョエル・キンメル

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