経済・社会

2025.12.25 08:30

祝ノーベル経済学賞 独占!モキイア教授 「日本には大改革が必要」 AIが変える未来

ジョエル・モキイア|経済史学者、ノースウェスタン大学教授 (PORTRAIT IMAGE : SHANE COLLINS / NORTHWESTERN UNIVERSITY)

──教授は半世紀以上もの間、経済学と歴史学の分野で研究を続けてきました。

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経済史は過去の経済を研究することだ。1945年、中世、時には人類史の黎明期までさかのぼることもある。

1993年に経済史の研究でノーベル賞を受賞したシカゴ大学の故ロバート・フォーゲル教授はいつも私に、こう言っていた。

「経済史を学ぶことなく経済学を研究するのは、古生物学を学ぶことなく進化生物学を研究するようなものだ。恐竜など、かつて生息しながら絶滅した生物の99.9%を見逃してしまう」と。

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仮に計量経済学などが専門でも、全経済学者が経済史を多少は学ぶべきだ。動物は、たとえ高い知能を持っていても、自分たちの歴史には関心がない。人間が、自らの過去を研究する唯一の種だからだ。

科学と技術の進歩の好循環

──教授は、持続的成長の転機として、英国の産業革命に焦点を当ててきました。

中世フランドルやルネッサンス期という単発の経済成長はあったものの、18世紀末から19世紀初頭にかけて英産業革命が起こるまで、世界では経済成長がほとんど見られなかった。だが、なぜ今は、これほど成長しているのか? この豊かさは、いったいどこから来たのか?

その解明に多くの時間を費やした。問いが大きいだけに、答えはひとつではない。とはいえ、その一因は、人々が科学の原理を知らずに物をつくっていたことにある。

例えば、かつて日本では、鍛冶屋が鋼(はがね)で侍用の刀をつくったが、彼らは鋼の化学組成を知らなかった。自分たちの技術を理論的にとらえることなく、刀をつくり続けた。だが、ある時、欧州で、鋼の成分が解明された。醸造や農業なども同じだ。

こうして、技術の「認識的基礎」の解明が進んだ。自分が使っている技術がなぜ機能するのかという理論的・原理的知識だ。1700年まで経済成長がほとんどなかったのは、人々の知識不足が原因だ。そのため、技術の改良や新技術の発明が難航した。

だが、17世紀後半から18世紀初頭に物理学と生物学の知識が生まれ、それが今日の技術の原動力になった。物の原理がわかれば、未曽有のレベルに技術を進化させられる。そして、技術は新たな発明を生み、永続的な豊かさにつながる。

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インタビュー=肥田美佐子 イラストレーション=ジョエル・キンメル

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