テクノロジー

2025.12.18 12:00

メタは「メタバース」から軸足を移し、テックの再編を示唆

Shutterstock

現在のAIリーダー企業であるOpenAIでさえ、ChatGPTの強化に資源を集中させるため、焦点を絞り込んでいる。リーダーさえもがそのような立場に追い込まれることが、競争の激しさと資源要件の大きさを示唆している。

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優位に立つ企業

既存の事業ラインがAIの恩恵を受ける企業は、この環境で大きな優位性を持つ。AWS(アマゾン・ウェブ・サービス)、Google Cloud(グーグル・クラウド)、Microsoft Azure(マイクロソフト・アジュール)はいずれも、企業によるAI導入に牽引されて成長している。こうしたクラウド収益が継続的なAI開発の原資となり、AI専業企業や、AIに隣接する強い収益事業を持たない総合テック企業には容易に再現できない好循環を生み出している。

とはいえ、これらの好位置にいる企業でさえ安穏としてはいない。マイクロソフトのCEOであるサティア・ナデラが、「AIの新しい経済性を再考する」ための新たなアドバイザーを任命したことは、最強のランナーですら、現行のアプローチが長期的に持続可能ではない可能性を認識していることを示唆する。

次に起こること

今後数カ月は状況がより明らかになるだろう。年次の計画サイクルや、例年1月に行われがちな人員削減は、戦略的な再配置の隠れみのになり得る。しかし本当の問いは、何が削られるかだけではない。企業が、足元の収益性と将来のAI競争力をどうバランスさせるかである。

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企業は明白な不採算案件だけを廃止するのか。それとも、自社のAIビジョンに合致しない黒字の従来型事業まで犠牲にするのか。経営陣は、明日のAI能力のために、今日の収益をどこまで賭けるのか。

こうした意思決定が、この移行を成功裏に乗り切る企業と、取り残される企業を分ける。テクノロジーの世界では、戦略転換のタイミングがすべてである。メタのメタバースからの後退は失敗に見えるかもしれないが、コストが本当に手に負えない水準になる前に資源を振り向け直すことは、まさに適切な時に適切な一手だったと後に証明される可能性がある。

メタバースが死んだわけではない。差し迫った注意と巨額の投資を要求する別の何かによって、優先順位を下げられただけである。テクノロジーの世界では、それは失敗ではない。適応なのだ。

forbes.com 原文

翻訳=酒匂寛

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