「アートは成長のドライバー」経産省によるアワード創設の狙い

(Forbes JAPAN 2026年2月号より)

経産省の果たすべき役割と目指す未来像

国は2017年から「文化経済戦略」を掲げ、文化と経済の好循環の実現を目指しているが、文化庁が「文化側」から経済社会への接続を促してきたのに対し、経産省は「経済側」から文化・芸術に近づくアプローチをとる。

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補助金に頼るだけでは芸術文化の発展には限界があり、他方、企業が芸術文化を消費するような付き合い方では先細りが想像される。そのため、企業が自らの利益と結びつけてアートに積極的に投資する、芸術文化と経済を包含した新たなエコシステムの構築が不可欠だ。

VUCAの時代といわれて久しいが、大きな組織であるほど未知のものへの抵抗も根強く、いまだアートへのコミットメントに二の足を踏む企業も多い。経産省は本アワードの第一目的をアートとの共創に取り組む、あるいは取り組もうとする企業をエンカレッジすることとし、成功事例を可視化し、表彰し、社会的に支えることで、さらに多くの企業を後押ししていきたいという。各部門で受賞1社だけでなく、ファイナリストとして複数社を選出したのも多様な共創を提示する意味がある。

「企業や地域がアート・アーティストと協業するのが『当たり前』の社会を目指したい」と藤井調査官。芸術文化と経済の両輪による社会全体の繁栄発展──本アワードはその基盤づくりの試みであり、今回表彰される企業の取り組みは、創造的な未来への手引きとなるだろう。

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藤井亮介◎経済産業省商務・サービスグループ 文化創造産業課 調査官。内閣官房 文化経済戦略特別チーム/文化庁 文化経済・国際課を経て現職。コンテンツ産業とクリエイティブ産業振興に関する業務を担当。

深井厚志◎AEDIT代表取締役。美術編集をバックグラウンドとしたアーティストやキュレーターとのネットワークをいかし、企業や自治体向けのアート専門の戦略コンサルティング、文化政策、コミュニティ構築などを手がける。

文=深井厚志

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