経済

2025.12.18 10:30

ナスダックの23時間取引、「世界最悪の事態」と米金融大手アナリストが批判

Shutterstock.com

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ニューヨーク証券取引所と並ぶ米国の二大証券取引所の一つ、ナスダックは12月15日、米国証券取引委員会(SEC)に書類を提出し、取引時間を週5日、平日23時間に延長することについて承認を申請した。

承認されれば、ナスダック上場株式は米東部時間の午前4時から午後8時までの「日中セッション」と、午後9時から翌朝午前4時までの「夜間セッション」で取引されることになる。

「これは文字通り世界で最悪の事態だ」と米国を代表する大手金融機関、ウェルズ・ファーゴのアナリストは12月16日のリサーチノートで述べ、この動きは株式市場を「ゲーム化」し、「取引をさらにギャンブルのようにする典型例だ」と付け加えた。

現在の価格に基づいて取引の即時執行を優先する成行注文は、午前9時30分から午後4時までの取引時間に限定されたままとなる。

指値注文(取引が成立しても良い範囲=上限、下限を決める注文方法)は、現行と同様に通常の取引時間内と時間外、両方の取引セッションを通じて引き続き利用可能となる。

ナスダックは取引時間を23時間に延長することにより、通常の時間内には取引できない米国外の投資家にも機会が拡大し、米国市場が海外証券市場と競争できるようになると主張した。

ウェルズ・ファーゴはそれを受けて、取引量は市場の開始時と終了時あたりで加速すると指摘。「業界は取引時間をさらに延長しようとしているのか?まったく意味がわからない」とし、同社のアナリストは「これほど一方的に、株式取引をより一層ゲーム化する行為を思いつかない」と反論した。

ナスダックの現在の取引時間

通常取引時間は午前9時30分から午後4時までで、プレマーケット取引では午前4時から午前9時30分までの指値注文、時間外取引では午後4時から午後8時までの指値注文が可能となっている。

NYSEが取引時間を週22時間に

SECは2月、ニューヨーク証券取引所(NYSE)が取引時間を週22時間に拡大する計画を暫定的に承認した。新たな計画では、NYSEの取引は午前1時30分に開始し、午後11時30分に終了することになるが、市場のデータフィードの更新を必要とする追加の承認待ちとなっていることを、ブルームバーグは報じた

取引時間を延長する背景

提案が承認されれば、ナスダックは世界初のほぼ24時間の取引を提供する主要な証券取引所となる。NYSE、ロンドン証券取引所、ユーロネクストを含むほとんどの取引所は、日中取引のみを提供している。ナスダックのタル・コーエン社長は3月、同取引所が市場規制当局と協議を行い、2026年から24時間の取引期間を開始する予定だと述べていた

一部の証券会社は、すでに夜間または時間外の株式取引を提供している。米国企業では、ロビンフッドが日曜午後8時から金曜午後8時まで、24時間取引が可能なサービスを提供。さらにインタラクティブ・ブローカーズでは、午後8時から午前3時50分まで夜間取引を行えるほか、ウェブルでは一部の証券について午後8時から午前4時まで取引できる(いずれもET)。

forbes.com 原文

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