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2025.12.17 10:30

ブレント原油が60ドルを下回り5月以来の低水準、ロシアとウクライナの和平進展で

Artur Widak/NurPhoto via Getty Images

Artur Widak/NurPhoto via Getty Images

北海ブレント原油先物は米国時間の12月16日、1バレル当たり60ドルを下回り、5月以来の低水準となった。ロシアとウクライナの和平交渉が進展しているとの見方に投資家が楽観的になっていることに加え、世界の原油市場に供給過剰の波が押し寄せていることが背景にある。

ドナルド・トランプ大統領は15日、ロシアとウクライナの合意が「これまでで最も近づいている」と発言した。

これを受け、ブレント原油先物は16日に2%台半ば下落し、1バレル当たり59ドル台の値をつけた。また、ウエスト・テキサス・インターミディエート(WTI)原油先物も2%台半ば下落し、1バレル当たり55ドル台の値をつけている。

米エネルギー情報局(EIA)は、米国および中東での生産急増を背景に、原油市場は年初以降、供給超過の状態にあると述べている。

EIAの予測によれば、米国の原油価格は2026年の第1四半期に平均で1バレル当たり54ドルまでさらに下落し、2026年通年では平均55ドルになる見通しだ。

11月、JPモルガンとゴールドマン・サックスのコモディティー担当アナリストは、供給過剰を理由に、2026年および2027年に原油価格の見通しを下方修正した。

原油価格は年初から下落基調が続いており、年間では20%超の下落となる見込みだ。年間の騰落率は2018年以来で最悪となる可能性がある。世界の原油市場では、石油輸出国機構(OPEC)が年初に複数回の増産を実施したことで、供給余剰が生じている。同機構は世界の原油フローを管理し、加盟国の生産割当を設定する役割を担っている。

多くの西側諸国がロシア産原油に制裁を科しているにもかかわらず、ロシアはインドや中国などに割安価格で販売することで輸出を継続してきた。トランプは、ロシアが和平交渉を進めず、ウクライナでの戦争を終結させない場合、米国の対ロ制裁を強化すると繰り返し警告している。ロシアは世界第3位の産油国であり、対ロ制裁を解除するための合意が成立すれば、原油市場に大量の供給が流入する可能性がある。

EIAによれば、米国による原油の供給が潤沢であることが、ガソリン価格下落の一因となっている。価格追跡サービスのガスバディによると、ガソリン価格は現在、2025年における最低の水準にあり、平均で1リットル当たり3ドルを下回っている。これは2020年以来の低水準だ。先日、トランプは一部の州でガソリン価格が1.99ドルになっていると主張した。

EIAによれば、米国が1日に生産する原油量は1320万バレルであり、これは同国が世界最大の産油国であることを示している。

forbes.com原文

翻訳=江津拓哉

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