世界的な競争の最前線に立つドイツ
核融合の商業化を巡る世界的な競争が激化する中、ドイツは同技術への取り組みを再開した。米国、中国、英国、欧州諸国などは核融合研究を加速させるため、実験用原子炉や先進材料、高出力レーザーや磁石に多額の投資を行っている。点火実験から技術的な節目に至る成功のたびに、競合者は実験室規模の実証から送電網対応施設への移行を迫られる。
この取り組みに参加することで、ドイツは後れを取る意思はないことを示している。同国は産業基盤や技術的な専門知識、RWEのような大規模な電力事業者との連携といった要素を兼ね備えており、科学的な成功を商業発電へと転換する上で優位性を持っている。政策立案者にとっては、核融合技術は断続的な再生可能エネルギーの限界に対する防衛手段でもある。言い換えれば、核融合炉や核分裂を利用した小型モジュール炉(SMR)が24時間365日、低炭素の電力を供給するようになれば、人類にとって大きな一歩となるだろう。
ドイツを代表する応用研究機関であるフラウンホーファー協会は、同国の深い産業・技術的専門知識が発電だけでなく、ハイテク基盤や技術の輸出、ライセンス供与を通じて、核融合商業化の第一波を捉えるのに役立つとしている。同協会のホルガー・ハンゼルカ会長は「卓越した研究技術力を有するわが国は、核融合に基づく炭素排出量の少ないエネルギー生産を実現する上で有利な立場にある」と強調した。
ドイツの核融合研究の推進は、エネルギー政策の戦略的な再調整を示しており、単なる技術実験以上の意味を持つ。同国は産業基盤を活用し、米国、中国、英国、その他の欧州諸国を含む世界的な競争の最前線に自らを位置付けている。
核融合の商業利用にはまだ10年程度を要するが、再現性のある科学的な成功や厳格な検証、調整された産業供給網により、無限のクリーンエネルギー時代はついに手の届くところまで来ている。ドイツ、そして世界にとって、核融合の実用化に向けた秒読みが始まった。


