Ben Terchaは、受賞歴のあるマネージドITサービスプロバイダー(MSP)およびマネージドセキュリティサービスプロバイダー(MSSP)であるOmega SystemsのCOOである。
何十年もの間、IT予算編成は年中行事のように扱われてきた:昨年の支出を確認し、パーセンテージを加減して計画と呼ぶ。2026年までに、このモデルは時代遅れなだけでなく、企業の足かせとなる。
テクノロジーはバックオフィスのサポート機能から、成長、回復力、競争優位性の原動力へと変化した。ITを「間接費」と見なしている企業はすでに後れを取っている。
同時に、テクノロジーに関連するリスクはかつてないほど高まっている。サイバー攻撃、コンプライアンス要求、顧客期待の急速な変化、AI導入の爆発的増加など、すべてが重要性を高めている。静的な年一回の予算編成プロセスではもはや対応できない。
だからこそ、CFOとCIOには新たな戦略が必要だ—コスト管理から価値創出へと会話をシフトさせるものである。
旧モデルはもう機能しない
従来のIT予算編成は単純な計算に基づいていた:収益の3〜5%を支出し、前年比で調整する。ITの役割がシステムを稼働させるだけだった時代には、それで十分だった。
しかし2026年には、そのアプローチでは組織が脆弱になる。高度なサイバー脅威、顧客向けデジタルプラットフォーム、AIを活用した意思決定を考慮していない。そして、ITを成長のレバレッジではなく、削減すべき経費として位置づけている。
結果は?CIOはすべての項目を弁明せざるを得ず、CFOは支出と成果の間の関連性をほとんど見出せない。
テクノロジーは今や戦略である
今日の取締役会はCIOに競争力の差別化、コンプライアンス、業務の回復力を求めている。CFOは明確さを求めている:どの投資が成長を促進し、リスクを軽減し、効率性向上によって自己負担するのか?
両方の役割は進化している。CIOは単なる技術者ではいられない。CFOは単なる門番ではいられない。共に、彼らは企業価値の共同設計者として行動する必要がある。それには、ITを予算としてではなく、ポートフォリオ—動的で、管理され、継続的に測定されるもの—として扱うことが必要だ。
資金はどこに向かっているのか?
この戦略を構築する最初のステップは明確さだ。あまりにも多くのリーダーが、自社のIT支出が実際にどこに向かっているのかを把握していない。
IT予算を理解するより明確な方法は、それらを3つのカテゴリーに分類することだ:運用、成長、変革(ガートナーのRGT手法):
• 運用:ネットワーク、インフラ、コンプライアンス、セキュリティなど、不可欠な業務を機能させ続ける。
• 成長:効率性と顧客体験を向上させる。
• 変革:新製品、ビジネスモデル、市場に資金を投入する。
しかし、このフレームワークでさえも曖昧になることがある。シャドーIT、SaaSの乱立、クラウドの無駄遣いによって、資金が実際にどこに向かっているのかが不明確になり、支出が戦略に沿っているのか、単に燃やされているだけなのかを見極めることが難しくなる。
2026年のIT予算を形作るトレンド
いくつかの力がCFOとCIOの支出に対する考え方を書き換えている:
• クラウド最適化とFinOps:クラウドは節約を約束したが、しばしば予想外の請求書をもたらす。アイドル状態のリソース、SaaSの乱立、過剰なワークロードにより、積極的なコスト管理が取締役会レベルの懸念事項となっている。
• 取締役会レベルの経費としてのサイバーセキュリティ:サイバーセキュリティはもはや間接費に埋もれた一項目ではない。侵害コストと規制上のペナルティが高騰する中、信頼と回復力への戦略的投資として扱われなければならない。
• 大規模なAIと自動化:パイロットプロジェクトでは価値を生み出さない。真の差別化要因は、AIを日常的なワークフローに組み込み、それを定着させるために必要なデータ、ガバナンス、統合に資金を投入することだ。
• コンプライアンス圧力:進化するプライバシー要件から業界固有の規制まで、ITは今やコンプライアンス義務の中心に位置している。これらの要件は避けられない予算の推進要因となっており、対処しないと高額な財務的・評判的コストを伴う。
• 人材不足:人なしのツールでは価値を生み出せない。クラウド、セキュリティ、データ専門知識への需要の高まりは、人材ギャップ自体が予算の優先事項であることを意味する。
• 顧客向けIT:テクノロジーは今やビジネスの玄関口である。ダウンタイム、遅いプラットフォーム、使いづらいデジタル体験は、顧客の信頼—そして収益—に即座に影響を与える。
新たな戦略
予算から価値へのシフトは、考え方とメカニズムの両方を変えることを意味する:
• 基本対オプション:セキュリティ、コンプライアンス、回復力は譲れない。それ以外はすべて、その価値を証明すべきである。
• 成果に結びついた支出:成長、効率性、リスク軽減、顧客維持のいずれであれ、すべての資金はこれらの成果のいずれかを指し示すべきである。
• 静的予算ではなく継続的予測:脅威と機会は年間計画には速すぎる。四半期ごとの調整とシナリオ計画が不可欠である。
• パートナーシップの活用:セキュリティ、コンプライアンス、イノベーションのいずれであれ、すべてを社内で行うことができる企業はない。MSPとMSSPはコスト削減だけでなく、力の乗数である。
CFO-CIOパートナーシップ
このシフトはサイロでは機能しない。CFOは厳格さをもたらすが、文脈が必要だ。CIOは専門知識をもたらすが、それを取締役会が理解できる成果に翻訳する必要がある。
2つの役割がパートナーとして—単なる対応者としてではなく—行動するとき、力学が変わる。CFOは資本配分とリスクの観点から優先事項を設定する。CIOはテクノロジーがどのように成長、効率性、回復力をもたらすかを示す。共に、彼らは取締役会が行動できる共通言語を作り出す。そのとき、会話は「なぜこれが必要なのか?」から「どのような価値をもたらし、どのように測定するのか?」へと移行する。
月次ポートフォリオレビューと共有スコアカード(成長、効率性、リスク、顧客への影響)でパートナーシップを運用する。合意された引き金(例:規制の変更、重大なインシデント、単位経済性の閾値)が自動的に資金の解放、一時停止、再配分を行う。
この協力関係は、ITがコスト議論から投資ポートフォリオとして管理され始める瞬間を示している。
本当に何が危機に瀕しているのか
2026年までに、勝利する企業は最大のIT予算を持つ企業ではなく、すべての資金から最大の価値を引き出す企業だろう。残りの企業は別の形で代償を払うことになる—クラウドの膨張、成長の機会損失、セキュリティの失敗、顧客の離脱。
これは削減や膨張の呼びかけではない。整合性を取る呼びかけだ。ITを成果に結びついた投資のポートフォリオとして扱い、規律を持って管理し、リアルタイムで調整する。回復力を後付けではなく、特徴として扱う。スピードと自信を生み出す場所でパートナーを活用する。数字に物語を語らせる。
なぜなら、今日のITは単なるコンピュータシステムではない。それは動きの中の戦略だ。そしてそれを見逃すリーダーは、非効率性だけでなく、企業価値そのものを危険にさらしている。



