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2025.12.17 14:30

鉄鉱石価格、予想に反して上昇傾向 豪リオ・ティントは新鉱山計画を推進

Shutterstock.com

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銅、金、銀の価格が史上最高値に達しているという世界的な流れは、鉄鉱石などの基礎原材料にもおよんでいる。今年初めに広く予測されていた下落ではなく、価格上昇が見込まれている。

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この予想外の上昇により、鉱山大手リオ・ティントは、日本の商社である三井物産と個人投資家のアンジェラ・ベネットをジョイントベンチャーパートナーとして、西オーストラリアで大型の新鉱山計画を推進することになった。

米国時間12月15日に発表されたローズリッジ鉱山の1億9100万ドルの実現可能性調査を進めるという決定は、2029年の建設開始と2030年代初頭の初出鉱を目指す計画プロセスにおける重要なステップとなる。

この新鉱山は世界最大級となり、当初の生産目標は年間4000万〜5000万トンの高品位鉄鉱石で、年間1億トンを生産するプロジェクトに成長する可能性を秘めている。

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おそらくより重要なのは、ローズリッジが鉱物や金属の安定供給をめぐるアジア諸国間の競争激化の一例だということだ。

リオ・ティントの場合、鉄鉱石への強い需要により、アフリカのギニアにある新しいシマンドゥ鉱山では中国企業とのジョイントベンチャーで、オーストラリアでは日本のパートナーと協働することが可能になっている。

両事業の基盤となっているのは、トン当たり75ドルにまで下落するという複数の予測にもかかわらず、鉄鉱石価格がトン当たり100ドルを上回る水準を維持していることと、東西間の政治的・外交的分断が深まる中で、新たな独立したサプライチェーンの発展が促進されていることだ。

シドニーを拠点とする証券会社バレンジョイは先週、2026年の鉄鉱石価格予測をトン当たり100ドルとする従来の見通しを繰り返す一方、2027年の価格予測をトン当たり95ドルから98ドルへと3ドル引き上げた。

シマンドゥの後に

見通しが改善した理由の一部は、世界経済の強化と、シマンドゥからの鉄鉱石を市場が吸収できる能力によるものだ。シマンドゥは2028年まで公称生産能力に達しないが、その後、ローズリッジのような新鉱山にとってチャンスの窓が開き始める。

ローズリッジへの日本の直接的な関心は、中国以外の供給源から将来の鉄鉱石供給を確保する方法として公然と宣伝されてはいないが、今年初めに三井と○故ピーター・ライトの遺産相続人との間で結ばれた画期的な契約に続くものだ。

三井は52億ドルの前払いで、ライトの姉妹アンジェラ・ベネットと彼の子供2人、レオニー・バルドックとアレクサンドラ・バートから鉱山の40%の権益を取得し、彼らのオーストラリア最富裕層リストでの地位を確固たるものにした。

バルドックとバートはローズリッジの権益をすべて三井に売却したが、ベネットは10%の権益を保持している。リオ・ティントは50%を所有し、経営権を持つ。

米国時間12月15日の実現可能性調査発表において、リオ・ティントは調査開始に加えて、ジョイントベンチャーが今後3年間で1億4600万ドルを同地域の鉄鉱石探査に投資すると述べた。

68億トンの鉄鉱石を含むと推定されるローズリッジからの初出鉱は、既存の鉄道、港湾、電力インフラに最も近い鉱床の北端から産出される見込みだ。

最終的に年間1億トンに拡大した場合、ローズリッジはシマンドウと同規模になる。シマンドウはかつてオーストラリアの鉄鉱石産業への脅威と見なされていたが、現在では世界の供給に対するタイムリーな追加と見られている。

forbes.com 原文

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