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2025.12.21 09:15

企業6割が廃止した年賀状、なぜ今あえて出すのか

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年賀状を送るのをやめる人が増えている。店の年賀状コーナーでは、年賀状や喪中はがきと並んで「年賀状じまい」の挨拶状が売られるようになった。この流れは個人だけにとどまらず、企業にも広がっている。紙の年賀状を出さなくなった企業がついに半数を超えた。

帝国データバンクの調査によれば、2026年の正月から年賀状の廃止を予定している企業は10.3パーセントとなった。これだけなら少ないように見えるが、2025年の正月でやめた企業も10.4パーセントあり、それ以前にすでにやめている企業とあわせると58.1パーセント。およそ6割の企業が年賀状じまいを決めたことになる。

年賀状じまいに関しては、企業によっていろいろな意見がある。化学品製造業の担当者は「年賀状じまいをする取引先が増えてきたことや、取りやめたことで取り引きに影響が出ることはないと判断したため年賀状じまいを判断した」と話しているが、その一方で「得意先が年賀状じまいをしないと、当社側から年賀状じまいをしにくい」と運輸・倉庫業の担当者は言っている。

情報サービス業からは、デジタル年賀状に切り替えたという声もある。さらに、多くの年賀状に埋没してしまうのでクリスマスカードに切り替えた、年賀状はやめたがカレンダーは配っているという企業もあり、紙の年賀状は廃止しても、別の形で年末年始の挨拶は存続しているようだ。

逆に、取引先から「忘れられないように」と営業上の観点から出し続けるという企業や、年賀状が届く枚数が減るほど目立ちやすくなり「効果的」と判断して送り続けるという企業もある。

年賀状じまいはしないという企業は29パーセントあるが、やめたくてもやめられない企業も含まれることを考えると、今後はさらに減っていくことが考えられる。

そうなると、ますます営業効果は高まるのか、効果が高いとわかれば再開する企業が増えて、また埋没してしまうのか、悩ましいところだ。

プレスリリース

文 = 金井哲夫

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