欧州

2025.12.16 09:00

拡声器での欺瞞、地上ロボとの連携──ウクライナ軍、ロ軍の消耗へ新たなドローン戦術

FPV(一人称視点)ドローン(無人機)の飛行訓練を行うウクライナ国家親衛隊第13「ハルティヤ」作戦任務旅団の操縦士。2025年11月5日撮影(Viacheslav Madiievskyi/Ukrinform/NurPhoto via Getty Images)

FPV(一人称視点)ドローン(無人機)の飛行訓練を行うウクライナ国家親衛隊第13「ハルティヤ」作戦任務旅団の操縦士。2025年11月5日撮影(Viacheslav Madiievskyi/Ukrinform/NurPhoto via Getty Images)

ウクライナ軍のオレクサンドル・シルスキー総司令官はこのほど英スカイニューズのインタビューに応じ、ロシアに対する現在の戦略について説明した。そこでの主眼は、ロシア軍を可能な限り消耗させることにある。こうした消耗戦では、ウクライナ側は自軍の人員と装備の維持を図りながら、ロシア軍の人員と装備を削減していく必要がある。

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しかし、消耗戦ではウクライナはロシアに対して大きく不利な立場にある。ロシアのほうが人口規模が大きいうえに、防衛産業の基盤も強固だからである。過去3年間、ウクライナはこの不利を補うためにドローン(無人機)を大規模に活用してきた。ウクライナの産業界がドローンの技術改良を不断に重ねてきただけでなく、前線の部隊もまた、ドローンの運用で新たな戦術を編み出し、ロシア軍に負担を強いてきた。最近もウクライナの報道機関やソーシャルメディアで、ウクライナ軍が導入しているいくつかの革新的なドローン戦術が取り上げられている。

音による欺瞞──スピーカー搭載ドローン

ドローンはこれまで主に偵察や監視、精密攻撃に使われてきたが、ウクライナ兵は現在、心理戦や戦場での欺瞞にも活用している。ソーシャルメディアでのロシア側の報告によると、音声再生装置を搭載し、スピーカーから軍用車両の走行音を流すウクライナ軍のドローンの存在が確認されている。こうした偽の音響シグネチャーに騙されたロシア軍部隊は、脅威が接近していると誤認し、偵察ドローンや自爆ドローンを投入することになる。

自爆ドローンは使い捨てなのでロシア側はリソースを消費し、さらに自らの陣地も露呈してしまう。他方、ウクライナ側は、欺瞞用ドローンは再利用可能なので、費やすリソースは最小限に抑えられる。

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同じ報告では、もっと手の込んだ方法についても説明されている。ドローンのスピーカーからロシア語で、助けを求める叫び声やうめき声など、苦痛を訴える声を発するというものである。ロシア兵がそれに反応して防御陣地からおびき出されると、あらかじめ誘導されているウクライナ軍の大砲やドローン攻撃の攻撃にさらされる。ロシア軍部隊がより露出した状態になると、こうした攻撃の効果は高まり、ロシア側の消耗が進むことになる。一方のウクライナ側は、全体としてリソースの消費を抑制できる。

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翻訳・編集=江戸伸禎

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