リーダーシップ

2025.12.22 08:00

会社の情報を外部から得る時代に、組織の幹部はどう対応すべきか

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組織の評判への圧力はもはや社外からのものではなく、内部からのものになりつつある。従業員は正式な社内連絡がくるずっと前にTikTokの動画やRedditのスレッド、転送されてきたスクリーンショット、外部者のコメントを通じて所属する組織で起きていることを知るようになった。情報が伝わる順序が逆転してから社内連絡は長年頼りにしてきた優位性を失った。

外部でまず噂話があり、その後に内部の説明で明確にされるという従来の流れは、情報がゆっくりと伝わり、組織が事象の順序を制御できた時代には有効だった。だが今や逆転している。上層部がメッセージを下書きする前に、従業員は修正されていない情報を目にすることが多いというのが実情だ。そうなると、外部で知られる真実と内部の説明との間に横たわる溝は埋めにくく、時には全く埋められないこともある。

大きな動きがあったときに信頼が壊れることは稀だ。信頼は静かに減っていく。社内のアップデートが遅すぎる、詳細に言及されるべきだったのに触れられない、トーンが人々が既に目にしたものに合致しない穏やなものだったりすると、あらゆるメッセージは数ある信号の1つに過ぎなくなる。公式の情報はもはや意味をなさなくなる。

この変化は2025年、データ管理プラットフォームを展開するAstronomer (アストロノマー)の「事件」で明らかになった。最高経営責任者(CEO)が人事担当最高責任者(CPO)とコンサートで親しげにしている様子をとらえた動画がTikTokで拡散し、CEOは辞任を余儀なくされ、従業員らは事の顛末を目にした。その動画は1億2800万回以上再生された。会社はほぼ2日間沈黙した。その沈黙の間、従業員は独自の物語を組み立てた。解説、スクリーンショット、推測、分析が説明の欠如を埋めた。経営陣が見解を示した時には、社内の発表は認識を形成するどころか、それに対抗するものになっていた。

こうした局面で有効な対応策が浮上している。暴露対策ではなく「事前の暴露」だ。一部の組織は完全な情報が得られていなくても、数時間以内に不完全ながら困難な状況を公式ルートで発信する。「動画のことは認識しています。幹部2名が関与しており、規定違反の可能性があります。独立調査を今朝開始しました。2人は即時休職処分となっています。詳細は分かり次第追って報告します」といった直接的な文は数日の猶予を稼ぐことができる。これは会社として問題に介入し、規範が適用され、誰もが既に目にした事実を認める前に完全な情報を待っているわけではないことを示す。

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翻訳=溝口慈子

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