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2025.12.25 11:00

Ferrari Tech Talent──跳ね馬を整備するという選択肢に出会う

日本に十数店舗しかないフェラーリの正規ディーラー。そこで働く整備士の数は、自動車業界全体から見ればごくわずかだ。だが、その希少な現場への入り口が、実は開かれていることはあまり知られていない。次世代の自動車整備士を発掘・育成するプログラム「Ferrari Tech Talent」に参加した若者たちの姿を追う。


リフトに上がったフェラーリを、若者たちが取り囲んでいる。普段目にすることのない下回りを覗き込み、しっかりと固定されたアンダーガードを指差し、「これ、整備するの大変そう!」「ここを外すにはあれも外さないと絶対取れないよね??」と盛り上がる。

その輪の中いた社会人の一人は、試作車両の組み立てを本業としており転職を視野に入れて参加した。隣にいたのは、フェラーリのジャケットを着た若い男性。初対面だが、車の前では関係ない。整備性など度外視した構造を「大変そう」と笑いながら、同時に「バラしてみたい」と目を輝かせる。これこそ整備士の性分なのだろう。

リフトアップしたフェラーリを底から眺める。白一色の整備工場にも参加者は驚きの表情を浮かべていた。
リフトアップしたフェラーリを底から眺める。白一色の整備工場にも参加者は驚きの表情を浮かべていた。

少し離れたところでは、大手国産自動車の整備学校に通う学生がレース好きの高校生と話し込んでいた。農学部でミツバチを研究している大学生の参加者もいた。

11月下旬、フェラーリの正規ディーラーであるコーンズとニコル・コンペティツィオーネで開催された「Ferrari Tech Talent」。ウェブ公募に580名を超える応募があり、選ばれた約20名がここにいる。共通点は一つ、フェラーリが好きだということだけだ。

「敷居が高いだろう」という誤解

なぜフェラーリは、こうしたプログラムに力を入れるのか。

コーンズ・モータース 芝ショールーム ゼネラルマネージャーの阿部俊孝(以下、阿部GM)は言う。「フェラーリはお客様が減らない。納車すればするほど入庫が増える。人も施設も拡大中なんです」

だが、整備士を志す若者の多くは、フェラーリをあまり選択肢に入れていないのが現状だという。

阿部GMによれば、「他のところで経験を積んでから、いつかフェラーリに」と考える人が多いそうだ。「敷居が高すぎて、自分には無理だと思っています。でも、うちは実は毎年4、5名の新卒を採用していて、1から育てる研修プログラムがあります。そこは気負わずに来てほしいと思います」

確かにフェラーリの整備は特殊だ。オイル交換一つとっても、一般的な車両が3〜4リットルで済むところ、フェラーリは15リットル必要だ。「え、15リットル?」と思うかもしれないが、ドライサンプ方式という専門学校では教わらない構造がそうさせる。ブレーキはセラミック製で、スチールのブレーキとは扱い方が根本から異なる。いわゆる市販車の常識が通用しない世界だ。

現場で働く整備士が、フェラーリの整備作業を実車の前で説明する貴重な機会。
現場で働く整備士が、フェラーリの整備作業を実車の前で説明する貴重な機会。

だからこそ、最初から専門的な環境で学ぶことに意味がある。阿部GMは言う。「中途でも、車の構造が全く違うと言われます。基本の扱いからして違うのです。だったら、早くから専門的な知識を身につけて、どんどんスキルアップしていってほしいですね」

好きなことで働く人たちの輝きにふれる

ある同い年の参加者に驚いたという声もあった。「フェラーリが好きすぎて、フェラーリのジャケットを着てきた人がいたんです」。レース好きの高校生、IT系の大学生、すでに働いている社会人。背景は違っても、フェラーリの前では関係ない。話し始めればすぐに打ち解ける。

農学部でミツバチを研究する女性は、意外な組み合わせに思えるが、実はそうでもない。ミツバチの巣のハニカム構造は、軽くて強い素材としてレーシングカーにも使われている。「速さを追求する設計って、自然界の美しさと通じるものがある。不思議なつながりが面白い」。好きなものと好きなものが、思わぬところでつながる。

その女性が現場で印象に残ったのは、技術よりも空気だったという。「テクニシャンの方だけでなく、働いているみなさんがみんな楽しそうだったんです。車を見せてもらう時に『どう?すごいでしょ?』っていう、クルマへの愛情が伝わってきて、そんなところも素敵だなと思いました」

プログラムには、現役メカニックとの座談会も組み込まれていた。そこで語られたエピソードも、参加者たちの心に残ったという。

レースのサポートを担当するメカニックが話してくれたのは、AF Corse(フェラーリのワークスチーム)と一緒に仕事をしたときのことだった。フェラーリ・チャレンジというレースの現場で、あるオーナーの車が派手にクラッシュした。でも翌日には予選がある。

さらにフェラーリのメカニックならではのレースの現場での体験など、まさに学校では学ぶことができない生きた体験が伝えられる。
さらにフェラーリのメカニックならではのレースの現場での体験など、まさに学校では学ぶことができない生きた体験が伝えられる。

「AF Corseのポリシーは、『出走させない』という選択をしないこと。どんな状態の車でも、必ず直して出走させる」

夕方にクラッシュした車がサービスピットに運び込まれる。そこからAF Corseのメンバーと一緒に、ドロドロになりながら夜通し作業。エンジンをかけ、翌朝には何事もなかったかのようにオーナーに渡す。「どうぞ」と。
「そういう瞬間が、一番楽しい」。そう語るメカニックの顔を、参加者たちは食い入るように見つめていた。

こうした現場で活躍するためには、何が求められるのか。ニコル・コンペティツィオーネ ゼネラルマネージャーの北川隆三(以下、北川GM)は言う。

「姿勢、吸収力、そして危機意識。新しい技術が開発されるスピードは、今までにないほど速い。常にそれを楽しみながら学び続けられる探究心が必要です」

かつて整備士といえば、黙々と手を動かす職人のイメージがあった。

「昔は職人気質というか、技術があればしゃべれなくてもいいという考えがありました。でも、それではもう通用しない」と北川GMは続ける。チームで動き、顧客と対話し、データを見てロジカルに判断する。求められるスキルは変わった。だが、根っこにあるものは変わらない。好きだから学び続けられる。好きだから妥協しない。

「1%でも妥協したら、人の命につながってしまう」と北川GMは言う。「安全と品質への絶対的なこだわり。そこに100%コミットできる人を求めています」。厳しい言葉だが、好きなものを扱う仕事だからこそ、その覚悟が持てるのかもしれない。

じつは、門戸は開かれている

プログラムを終えた参加者たちの反応は、主催者の期待を超えるものだった。幼い頃からの夢が現実味を帯びてきたという参加者もいた。

「整備士になるなら国産メーカーからという道が一般的で、外資系は狭き門だと思い込んでいました。でも今回、もしかしたらチャンスがあるんじゃないかと。国家1級の整備士免許に向けて勉強を頑張って、フェラーリで働くことも選択肢に入れて進路を考えたいと思います」

転職を視野に入れて参加した参加者は、はっきりと言い切った。「今の工場では学べる上限が決まっている感じがする。でも、ここには上限がない。学べることしかないだろうなと確信しました」。自分でもやれる自信はありますか、と聞くと「ありますね」と即答した。

フェラーリを整備できるということは、フェラーリを所有することとは別の価値がある。阿部GMの言葉が印象的だ。

「フェラーリは道具じゃない。芸術品なんです。それを扱える技術者になるということは、所有すること以上の体験かもしれない」

日本にフェラーリの正規ディーラーは十数店舗。自動車業界に何十万人と関わる中で、フェラーリに触れられるメカニックはごくわずかだ。だが、その希少な現場への入り口は、実は開かれている。Ferrari Tech Talentは、そのことを伝えるためのプログラムだ。

知らなければ始まらない。最高峰のブランドが、次世代に向けて手を差し伸べている。その事実を知ったことが、誰かのキャリアを動かすかもしれない。

参加者にはプログラムを終了した証書が送られた。でもこれははじまりの序章に過ぎない。
参加者にはプログラムを終了した証書が送られた。でもこれははじまりの序章に過ぎない。

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https://forbesjapan.com/feat/ferrari_tech_talent/

Promoted by Ferrari / text by Tsuzumi Aoyama / photographs by Kimi Mikawa