3. 燃え尽きが、仕事のとらえ方を変えつつある
燃え尽きてしまう従業員は、若年層だけではない。eラーニング・プラットフォームMoodle(ムードル)の最新調査では、「2025年に何らかの形で燃え尽きたと感じた」と答えた米国の労働者は66%に上った。
ムードルのスコット・アンダーバーグ最高経営責任者(CEO)は、こう述べる。「米国の大半の業界で、労働者たちは苦しい状況に置かれている。特に深刻なのは、若い従業員だ。燃え尽きる人の割合は高い。しかもAIの脅威で、自分の存在意義に大きな不安を抱えるようになっている」
燃え尽きは個人の問題というよりも、職場設計の問題としてますます見なされるようになっている。McKinsey(マッキンゼー)の調査では、職場における有害な行動が、燃え尽きを招く最大の予測因子であることが示された。
キャリア・ミニマリズムは、以下のような行動を重視することで、こうしたプレッシャーに対処する助けとなる。
・自分のエネルギーを守れるように、勤務時間を明確に設定する。
・プライベートの時間を確保し、健康と人間関係を維持する。
・責任について、明確に線引きをする。
・「常にオン」の状態を保とうとせず、持続可能なペースで働く。
こうしたやり方を取り入れれば、長期的なウェルビーイングを損なうことなく、職場で常に生産性を維持できる。
4. 非直線型のキャリアが新たな常識に
キャリアは、出世の階段をまっすぐ上っていく従来型から、より柔軟な形へと進化している。今どきのキャリアは、たとえるなら池に浮かんだスイレンの葉だ。人々は何十年も1つの組織にとどまらず、その時々のニーズに合った機会へと移動していくのだ。
非直線型キャリアの広がりを牽引した要素をいくつか挙げよう:
・スキルの陳腐化が速くなり、長期的な計画を立てにくくなった。
・リモート勤務やハイブリッド勤務の普及で、地理的な制約が減った。
・プロジェクトベースの仕事が増え、多様性が促されている。
・とりわけ、経験豊富なプロフェッショナルのあいだで、水平方向へのキャリア移動に対する抵抗感が薄れた。
こうしたアプローチは、多くの働く人にとって、キャリアの半ばや後半を生き抜いていくための現実的な枠組みとなっている。ポートフォリオ型キャリアや水平方向へのキャリア移動はいまや、安定性や自主性、充実感を高めるための戦略的な動きと見なされている。
5. 従業員は、肩書よりも主体性を重視している
キャリア・ミニマリズムが広まりを見せている別の理由として、人々が、自分のやる気をかき立てるものは何かについて、再検討を始めていることがある。とりわけ勤務時間が長くなったり、ストレスが増したりする場合は、肩書や出世の魅力が薄れてしまう。
働く人は、肩書や出世よりも以下のようなことを求めている。
・期待されている業務や役割が明確なこと。
・やるべき業務量が事前にわかっていること。
・主体的に成長できること。
・人生を奪う仕事ではなく、人生を支えてくれる仕事であること。
肩書や出世といった名声よりも、自分のエネルギーを管理することの方が重視されるようになっている。働く人が求めているのは、常に犠牲を強いられるキャリアではなく、持続可能で自分を支えてくれるキャリアなのだ。


