今年、人々をもっともイライラさせた事柄『2025年イライラ大賞』が、一般社団法人アンガーマネジメント協会から発表された。物価高や政治への不信感をおさえてダントツでトップになったのが「人間関係のストレス」だった。パワハラやカスハラなど、身近な「他人の怒り」による健康やパフォーマンスへの影響が深刻化している。
イライラ大賞のトップ5は、上から「人間関係のストレス」、「物価・生活コストの上昇」、「政治・政策への不信感」、「将来への不透明感・不安」、「SNSやメディアでの過激・扇情的な発言・炎上」となった。これを受けてアンガーマネジメント協会は、身近な人間関係、社会情勢、デジタル環境など、ストレスの原因が「多層化している」と言う。

また、他人の怒りやストレスが、自分の生活や仕事に与える影響について問うと、じつに53.8パーセントもの人が「心身の健康問題」と答えた。不眠、頭痛、不安などの症状が現れているというのだ。さらに、仕事や学業のパフォーマンスの低下も高い割合であげられた。

さらに、誰かの怒りに振り回されてモヤモヤした経験の有無を聞くと、「よくある」と「たまにある」が合わせて83.6パーセントにものぼった。理由は、言い方や態度が攻撃的というものがもっとも多く、SNSやニュースで他人の怒りを見て疲れたというものも多かった。スマートフォンを通じて「日常的に怒りにさらされ続ける状態」が、心身の不調やストレス蓄積の新たな要因になりつつあると同協会は指摘する。
その裏返しとして、怒りを表に出さない人が60パーセントあり、怒りを我慢することによる健康被害の拡大も心配される。こうした社会状況を問題視する人は多く、感情教育の必要性を感じる人は83.1パーセントにのぼった。しかし、実際に感情教育を実施している学校は36.7パーセント、職場は52.4パーセントと少ない。

アンガーマネージメントとは、怒りを抑えることではなく「怒る必要があるときは適切に怒る」ためのトレーニングだと同協会は言う。つまり、他人を巻き込まず自身のストレスを発散できる上手な怒り方だ。自分の感情をうまくコントロールする「感情リテラシー教育」が、今後ますます重要になるということだ。



