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2025.12.17 12:30

3つの「悪い習慣」があなたをより「良い人間」にしてくれる

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能動的な先延ばし

先延ばしは、この記事で紹介した習慣の中でも、おそらく一般的に最も非難される習慣である。それは成功の敵であり、締め切りからの逃避や潜在能力の浪費の背景として語られることが多い。慢性的で回避的な先延ばしが有害であるのは事実だが、近年の研究は、そこに重要な区別を提示している。すなわち、不安や回避から生じる「受動的な先延ばし」と、より戦略的な遅延行為である「能動的な先延ばし」の違いである。

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心理学者のチュウ・シン・シエンとチョイ・ジン・ナムは、この区別を最初に明確化した研究者の1人である。彼らの研究とその後の多数の検証によれば、能動的な先延ばしを行う人々は、プレッシャーがある方がパフォーマンスが上がると信じているために、意図的に課題を後回しにする。彼らは締め切りをしっかりと管理し、ストレスは比較的低く、しばしば高い成果を生み出す。外から見れば先延ばしに見える行動も、実はそれは、自信と意図的なタイミング調整を反映しているのである。

これに関連するインキュベーション期間に関する研究も、この考えを支持している。創造性科学の研究は、課題から一度離れ、心を自由にさまよわせ、注意を別の対象に向けることが、後により良い解決策につながることを示している。その間、無意識は背後で作業を続け、情報を統合し、新たな連想を形成する。一見先延ばしに見えるものは、多くの場合、認知的な準備期間なのである。

能動的な先延ばしは、衝動的な意思決定を防ぐ効果も持つ。不確実性の高い状況で人が急いで行動すると、早まった選択をしたり、重要な細部を見落としたりしがちである。短い一時停止は、とりわけその時間を情報収集や思考整理に用いる場合、熟考のための余地を生み出す。

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それでも、すべての先延ばしが適応的というわけではない。回避、自己不信、直前のパニックを特徴とする受動的な先延ばしには、前述したような保護的な性質は存在しない。有益な先延ばしと有害な先延ばしとの違いは、それが統制されているか、意図されたものか、そして、感情的な安定性をもたらすかによる。戦略的な先延ばしは成果を生むが、回避的な先延ばしは、それを損なう。

あなたの悪い習慣は、実は「対処ツール」かもしれない

ゴシップや愚痴、先延ばしが人をより健全にする可能性があるという考えは、直感に反し、やや挑発的にすら感じられるかもしれない。しかし科学は、なぜ特定の「悪い習慣」がそもそも進化したのかを繰り返し明らかにしてきた。そして、その理由はたいてい極めて合理的である。人間は複雑な社会世界を生きる複雑な存在だ。表面的には非効率で不完全に見える戦略も、その下には適応的な利点を秘めていることが多い。

もちろん、これは熟考なしにこれらの習慣を受け入れるべきだという意味ではない。ただ、自分を過度に批判する衝動は的外れかもしれない、ということを示しているにすぎない。私たちがみずからを責めがちな行動の多くは、つながり、感情調整、思考、対処を支えるという役割を果たしている。つまりは、自分自身がどのように懸命に生きようとしているのかを見極めるために、もう少し自分に寛容になる価値があるのである。

forbes.com原文

翻訳=江津拓哉

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