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2025.12.17 12:30

3つの「悪い習慣」があなたをより「良い人間」にしてくれる

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さらに、一定の範囲内で他人について語ることは、人に承認や支えを感じさせる助けにもなる。混乱を招くやり取りを語った際に、「私もそう感じた」「そう違和感を覚えるのは無理もない」と返されると、心を落ち着かせ、感情を調整する効果が生まれる。人間は、社会的情報を孤立した状態で解読するようにはできていない。ゴシップは、意味を共同で構築し、感情の均衡を守るために私たちが用いてきた、最も古い手段の1つなのである。

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もちろん、すべてのゴシップが健全というわけではない。悪意ある噂の拡散や人格への攻撃は、信頼を損ない、敵意を生み出す。しかし、日常的に交わされるゴシップの大半は、残酷でも破壊的でもない。注意深く使われる限り、それは社会的知性の一形態に近く、人間が共同体生活を円滑に保つために用いられる、数多くの方法の1つなのである。

的を絞った愚痴

不満を口にすることも、しばしば単純化され、戯画化されがちな行動である。絶えず文句を言い続け、視野を広げようとしない慢性的な愚痴屋は、しばしば嘲笑の対象となる。しかし、「的を絞った愚痴」という行為は、まったく異なる心理的目的、すなわち、感情の調整を果たすものである。

感情の社会的共有に関する研究は、この違いを明らかにしている。神経画像技術を用いた2014年の研究では、研究チームは、協力的なパートナーと否定的な体験を共有する人々は、報酬や安堵に関連する脳領域の活動が高まることを見いだした。平易に言えば、思いやりをもって耳を傾けてくれる相手に苦しい出来事を語ることで、人は状況が変わらなくても気分が楽になる。なぜなら、感情的な負担が軽くなるからである。

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この種の自己開示は、内面的な体験をより効果的に処理することも可能にする。感情に名前を与えることで、漠然とした不快感は具体的な問題として捉えられ、結果として扱いやすくなる。また、聞き手はしばしば視点を補足する。ときには「それは普通だ」という正常化を、またときには穏やかな問いかけを加えることで、話し手が状況理解を再調整する助けとなる。

何より重要なのは、感情の社会的共有が人間関係を強める点である。苛立ちや悲しみを表現した人に対し、聞き手が温かさや承認を示すと、両者の感情的な結びつきは深まる。人は、より理解され、より知られ、ストレスを1人で抱え込まずに済んでいると感じるようになる。

ただし、ゴシップと同様に、こうした利点には注意点が伴う。愚痴が役立つのは、それが状況依存的で、意図的であり、建設的に応じてくれる相手に向けられている場合に限られる。慢性的な愚痴や、ネガティブな感情を共有し合うことは、同じ問題の周りをぐるぐると回り続けるだけで物事を明確化したり、その状況を受け入れようとしない場合、かえって苦痛を増幅させることがある。健全な発散と感情的な泥沼化との境界線は確かに存在するが、日常的な不満の多くはより健全な側に位置している。人間は苦痛を社会的に表現するようにできており、それは自然な対処メカニズムであることが多い。

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翻訳=江津拓哉

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