製菓大手と提携したチャリティー企画、その実態に疑惑が浮上
フェラーニのキャリアが絶頂期にあったのは、2022年末、イタリアの製菓大手バロッコと、チャリティー目的でパンドーロを宣伝する契約を結んだ頃だった。フェラーニは提携を発表するインスタグラムの投稿で、「バロッコと私は、レジーナ・マルゲリータ病院を支援するためのチャリティープロジェクトを立ち上げた」と書いている。
このコラボレーションでは、通常のパンドーロの2倍にあたる11ドル(約1705円)で販売された商品1点ごとに、「キアラ・フェラーニとバロッコはレジーナ・マルゲリータ病院を支援しています」と記されたタグが付けられていた。
しかしその年の12月、イタリア人ジャーナリストのセルヴァッジャ・ルカレッリによる調査報道が、フェラーニのキャリアを大きく揺るがすことになる。「キアラ・フェラーニのパンドーロは慈善ではなくマーケティングだ」と題した記事でルカレッリは、バロッコが当初に行った約5万4000ドル(約837万円)の寄付以降に、レジーナ・マルゲリータ病院に一切、資金提供を行っておらず、フェラーニ自身も私費での寄付を一切行っていなかったと報じた。「彼女は慈善活動と商業活動を、疑わしい形で混ぜ合わせているのではないかと、以前から感じていた」とルカレッリはフォーブスに語っている。
ルカレッリによると、記事を公開する前にフェラーニ本人に連絡を取ることはできず、この報道はフェラーニにとって寝耳に水だった可能性が高いという。ただし、「私は彼女を犯罪者だとは思っていない」とルカレッリは言う。「影響力の扱い方を大きく誤った人物だと思っている。自分がどれほど大きな存在になっていたのかを、理解していなかったのだ」。
しかし、フェラーニはこの最初のスキャンダルを何とか乗り切った。2023年6月には、投資会社アルキミア・インベストメンツが保有株の一部をプライベートエクイティファンドのAVMジェスティオーニに売却する取引の中で、キアラ・フェラーニ・ブランドの評価額は8200万ドル(約127億円)に達した。
この取引を祝うインスタグラムの投稿で、フェラーニは「私には、長期的な価値のあるものを築くだけの能力も知性もないと、多くの人が思っていた」と振り返り、「それでも私は、自分のアイデアのために戦い続ける」と書いていた。
クリスマスケーキの宣伝手法を当局が問題視、巨額の罰金を科される
だが同年12月、イタリアの競争当局であるAGCM(競争・市場監督庁)は、虚偽広告に関連する「不公正な商慣行」を理由に、キアラ・フェラーニ・ブランドとTBSクルーに対し、合計120万ドル(約1億9000万円)の罰金を科した。裁定文で引用されたバロッコの社内メールでは、「実際のところ、この売上は彼女の法外なギャラを賄うために必要なんだと、フェラーニのチームに伝えたいものだ」と同社の社員が冗談交じりに書いていた。
虚偽広告の認定によりスポンサーが離れ、企業の役員職も退任
裁定の数日後に公開した謝罪動画で、フェラーニはこの件を「意思疎通の行き違い」だったと説明し、「私たちは子どもに、人は間違いを犯すもので、そうしたときには認める必要があると教えている」と語った。
彼女は、レジーナ・マルゲリータ病院に110万ドル(約1億7000万円)を私的に寄付すると発表した一方で、AGCMの判断については「不釣り合いで不公正だ」と反論した。また、控訴で裁定が覆った場合には、科された罰金相当額も同病院に寄付すると表明したが、裁定は覆らなかった。
この後、インスタグラムでのフェラーニのブランド案件は次第に途絶えていった。コカ・コーラは、彼女を起用したテレビCMの放映計画を中止し、フェラーニはビリオネアのディエゴ・デッラ・ヴァッレが所有するイタリアの高級ファッションブランド、トッズの取締役も退任した。同ブランド側の広報担当者はフォーブスに対し、フェラーニの任期は「当初の予定どおり満了した」と説明した(コカ・コーラはコメント要請に応じなかった)。


