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2025.12.15 09:00

「米国版シャヘド」中東に配備 米軍、イラン製の安価な自爆ドローンを模倣

米中央軍の作戦地域内の基地で2025年11月23日、駐機場に置かれた低コスト無人攻撃機「LUCAS」(US Central Command Public Affairs)

米中央軍の作戦地域内の基地で2025年11月23日、駐機場に置かれた低コスト無人攻撃機「LUCAS」(US Central Command Public Affairs)

米軍は「手ごろな価格のドローン(無人機)技術」を早急に開発・配備する取り組みの一環で、「スコーピオン攻撃任務部隊(Task Force Scorpion Strike、TFSS)」を発足させた。TFSSは、「低コスト無人戦闘攻撃システム(Low-cost Unmanned Combat Attack Systems、LUCAS=ルーカス)」と呼ばれる一方向攻撃ドローン(徘徊弾薬)の飛行隊で、中東に配備されている。

興味深いのは、LUCASがイラン設計の徘徊弾薬「シャヘド136」に酷似していることだ。というより、米国はLUCASの開発にあたって、鹵獲されたイラン製シャヘドをリバースエンジニアリング(分解・解析)したことを公に認めている。過去数十年、米国製兵器の数々のコピーを無断で製造してきたイランに対し、意趣返しするような動きだ。

TFSSの編成とLUCASの配備は、中東方面の米国の軍事作戦を統括する米中央軍(CENTCOM)が12月3日付のプレスリリースで公表した。

「CENTCOMによって配備されるLUCASドローンは航続距離が非常に長く、自律的に作戦行動を実施できるように設計されています」とプレスリリースには記されている。「カタパルトやロケット補助離陸装置、地上車両システムなど、さまざまな機構から発射可能です」

イランとその代理勢力である武装組織は長年、シャヘド136をはじめとするシャヘド型徘徊弾薬を中東の米軍部隊に対して使用し、兵士らを負傷させたり、場合によっては死亡させたりしてきた。ロシアも2022年にウクライナへの全面侵攻を開始して以来、ウクライナの都市部や電力網などを攻撃するためにイラン設計のシャヘドを広範に用いてきた。ロシアはシャヘドの派生型を自国で生産するようになっており、その規模と程度はイランを不快にさせたと伝えられる。シャヘドは比較的安価なため、ロシアがウクライナに対して連日行っているように、運用側は大量に投入して敵側の防空網を飽和させたり、都市全体を恐怖に陥れたりできる。

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翻訳・編集=江戸伸禎

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