イラン空軍のF-14Aは、往時は間違いなく最先端の制空戦闘機だった。「AWG-9」レーダーで遠距離の目標に誘導される長射程空対空ミサイル「AIM-54フェニックス」を装備したF-14Aは、視界外空戦の分野でまさしく先駆的存在だったのだ。イラン空軍がフェニックスを慎重に節約ながら使用していたのも理解できる。1980年代、イラン空軍は前出のMIM-23地対空ミサイルをF-14向けに転用することを試みたが、成果はまちまちだった。
数十年後、イランはAIM-54とMIM-23を基にした長射程空対空ミサイル「ファクール90」を公開した。このミサイルはイランに残存する現役のF-14Aで使用されている。F-14は現在、イランでしか運用されていない。
同様に、イランのレーザー誘導空対地ミサイル「ビーナー-2」は、イラン空軍のF-4戦闘機が使用していた米国製空対地ミサイル「AGM-65マーベリック」のイラン版のようだ。
イランによるこうした数々の米国製兵器のコピーを踏まえれば、米国が中東に配備する安価なドローンの開発にあたり、イランの設計を模倣するのをためらわなかったのは驚くべきことではない。
米国はまさに、「やられたらやり返すのが公平」ということわざどおりに行動してみせたということだ。

