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2025.12.15 09:00

「米国版シャヘド」中東に配備 米軍、イラン製の安価な自爆ドローンを模倣

不発弾の修復や転用、リバースエンジニアリングは、戦禍のやまない中東では別に新しい現象ではない。パレスチナ・ガザ地区のイスラム組織ハマスも、イスラエル軍によってその細長い沿岸地帯に投下された弾薬のうち、爆発しなかったものを利用して、大量のロケット弾や対戦車兵器を製造してきた。

イランがリバースエンジニアリングした米国製兵器で最も有名なものは、おそらくステルス無人機の「ロッキード・マーティンRQ-170センチネル」だろう。2011年末、この全翼型の高度な無人機の一機がアフガニスタンからイランに迷い込んで不時着し、イラン側の手に渡った。イランはその後、RQ-170にそっくりなジェット推進式ドローン「シャヘド171シームルグ」をはじめとする模倣品を自国で製造するようになった。イランはこれまでに、RQ-170の設計に基づいた攻撃型や偵察型のレーダー回避ドローンを少なくとも5種類開発したとみられている。

RQ-170の鹵獲はイランにとっても例外的な出来事だった。実のところ、イランがリバースエンジニアリングしてきた兵器の大半は、現在のイスラム共和国がシャーの時代から引き継いだものが占める。近年の事例で興味深いもののひとつに、主力戦車「カラール」の開発がある。アナリストたちによるとこの戦車には、ソ連製の「T-72」、米国製の「M60」や「M48」、英国製の「チーフテン」など、これまでにイラン軍が運用してきたさまざまな戦車を模倣した形跡が認められる。さらに、イラン軍が一度も運用したことのない米国製戦車「M1エイブラムス」からも着想を得たようだ。

もっと最近の事例では、イランはM60を近代化して「ソレイマン-402」という派生型戦車を開発した。イランのメディアや当局者は、この戦車の改修された装甲の性能は今日の最新鋭戦車に匹敵すると誇っている

シャー時代の兵器に由来するイランの模倣品にはほかに、米国製の地対空ミサイルシステム「MIM-23ホーク」を基にした「メルサド」や、米国製の艦対空ミサイル「RIM-66スタンダード」をリバースエンジニアリングし、イラン独自の改修を加えた「サッヤード-2」などがある。

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翻訳・編集=江戸伸禎

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