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2025.12.15 09:00

「米国版シャヘド」中東に配備 米軍、イラン製の安価な自爆ドローンを模倣

米中央軍の作戦地域内の基地で2025年11月23日、駐機場に置かれた低コスト無人攻撃機「LUCAS」(US Central Command Public Affairs)

一方、長い航続距離を誇る「ジェネラル・アトミクスMQ-9リーパー」などの米国製ドローンは、シャヘドのような使い捨てドローンよりも格段に高性能であり、担う任務も異なる。こうした米国製ドローンは技術的に高度で価格も高いため、実戦配備できる機数はずっと少なく、許容できる損失数もまたはるかに少ない。また、米軍が今年、イエメンでイランの支援を受ける反政府勢力フーシ派に対して行った激しい空爆作戦では、リーパーがとりわけ地対空ミサイルに脆弱なこともあらわになった。

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LUCASのような、よりローテクなドローンを配備することで、米軍は中東の敵対勢力に対して投入できる機数も、許容できる損失数も大幅に増やせる。米軍の部隊や基地が攻撃を受けた際に、とくに死者が出なかった場合には、高価な精密誘導弾を搭載した高性能な戦闘爆撃機を出撃させたり、あるいは米国本土から戦略爆撃機を直接送り込んだりするのでなく、同様のドローン攻撃で応酬することも可能になる。

CNNは米国防当局者の話として、LUCASの価格は1機あたり3万5000ドル(約550万円)程度と伝えており、これは基になったシャヘドと同じくらいのコストだ。1機推定3000万ドル(約47億円)のリーパーに比べると、文字どおり桁外れに安い。単純計算ではリーパー1機分の費用でLUCASを857機調達できることになる。

CNNの報道は、LUCASの開発にあたって、数年前に米国によって鹵獲されたシャヘドを複数の米企業が研究し、リバースエンジニアリングしたことも確認している。

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ここで思い出すべきなのは、シャヘド136や似たような「シャヘド131」には、GPSモジュールやマイクロチップをはじめ、米国製部品が大量に使われていることが明らかになっていることだ。つまり、米国がコピーしたドローンはそもそもイランの「純国産」のものではなかったと言える。

それでも、LUCASの開発は注目に値する転換点となる。これまで40年以上にわたり、革命後のイラン側が、米国製の兵器やシステムを米政府の許可なく繰り返しコピーしてきた経緯があるからだ。

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翻訳・編集=江戸伸禎

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