テクノロジー

2025.12.15 09:30

家庭用ロボの動画をGoogle DeepMindが公開、ロボ向けGemini採用し作業をこなす

ApptronikのApollo(Mike Jordan/SXSW Conference & Festivals/Getty Images)

植物を植木鉢に移し替えたり、お菓子を容器に入れたり、洗濯物を仕分けたりできたからといって、来年には自宅にヒューマノイドロボットがいると決まったわけではない。だが、家の掃除やメンテナンス、さらには料理までロボットに任せたいという夢は、少し現実に近づきつつある。Google DeepMindが、Apptronikのヒューマノイドロボット「Apollo」(アポロ)に言葉で指示を与え、これまで見たことのない物体を使ったタスクを実行させる様子を公開したからだ。

ロボットが現実世界の物体を操作、複雑なタスクをこなす

動画の中でグーグルは、ロボットがチャック付きポリ袋を開け、パンを袋に入れ、洗濯物を色ごとに仕分け、ときに柔らかく、ときに掴みにくい、いびつな形の現実世界の物体を操作する様子を見せている。ロボットは「緑のブロックを拾って」や「この洗濯物を色の濃いものと白いもので分けて」といったコマンドを理解し、トレーナーがロボットが掴もうとしている容器や物体を動かして環境を変化させても、それに適応する。

ただし、動きは速くない。

「ときどき少しぎこちないところもあります」と、数学者でありブロードキャスターであり、DeepMindポッドキャストのホストでもあるハンナ・フライはいう。「ですが、目の前の状況を意味のレベルで理解し、文脈を踏まえてシーン全体を把握し、複雑なタスクを論理的にこなせるロボットがいる、という発想そのものが、ほんの数年前まではまったく想像もできなかったことだという点は、忘れてはなりません」。

グーグルとApptronikとの提携、約678億円規模の出資

グーグルは今年初め、Apptronikが実施した4億300万ドル(約678億円)規模の大型資金調達ラウンドに出資している。昨年12月には、ApptronikがGoogle DeepMindのロボティクス研究所との戦略的パートナーシップを発表し、「最高水準の人工知能と、最先端のハードウェアおよびエンボディド・インテリジェンス(embodied intelligence:身体性を備えた知能)を組み合わせる」ことを掲げた。

ロボ本体はApptronik、頭脳はロボット特化の「Gemini Robotics」

乱暴に言ってしまえば、ロボット本体を持ち込むのがApptronikで、その「頭脳」を持ち込むのがグーグルだ。その頭脳は、Gemini 3の登場により、さらに賢くなっている。ロボット向けに特化したGeminiのバージョンであるGemini Roboticsは、両腕型の産業用ロボットから、アポロのような完全なヒューマノイド型(人間型)プラットフォームまで、複数の「身体」を再訓練なしでサポートできるよう、意図的に設計されている。

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翻訳=酒匂寛

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