キャリア

2025.12.15 11:30

不確実な現代のリーダーに求められるのは大胆さ、行動を阻む恐怖に対処するには

大胆さは個人の属性であるだけでなく、集団のものでもある

大胆さは、予測可能性が急速に失われる混乱時や破壊的変化(ディスラプション)の際にも不可欠となる。「破壊的変化(ディスラプション)とはパターンや型を破ることだ。試行や失敗、学習、再挑戦を意味する。その繰り返しだ。現代において大胆さは競争優位の源泉だと私は考える。そして大胆さは個人の属性であるだけでなく、集団のものでもあることを忘れてはならない」とグラティは話す。

大胆なビジョンと規律ある実行を絡み合わせることはリーダーシップにおける永遠の課題だ。グラティはこれらを分離すべきという考えに異議を唱える。「これは古くからある問題で、スタンフォード大学名誉教授だったジム・マーチが画期的な論文を書いた。後に続いた研究者らは、この2つの相互作用はほぼ不可能で企業内で分離すべきだと示唆してきた。恐縮だが、私の意見は異なる。勇気は大小さまざまな形で私たち全員が必要とするものだと考えている」。

大胆さの力を大規模に示す組織があるとグラティは言う。「米医療機器メーカーBoston Scientific(ボストン・サイエンティフィック)はマイク・マホーニーの下で劇的な再生を遂げた。マホーニーが『勝利の精神』と呼ぶものが原動力となった。そこには勇気があふれている」。

大胆さは恐怖を消し去らない、恐怖に決断を委ねることを拒む

透明性と勇気は密接に結びついている。不確実性が伴う場合にはなおさらだ。「リスクと不確実性は別物だと覚えておきたい。どちらも恐怖反応を引き起こすが、不確実性は全く別のものだ。『オズの魔法使い』のライオンのように、恐怖を克服し前進し続けねばならない。それが勇気だ!」とグラティは話す。

結局のところ、変革を主導する、複雑な状況を乗り切る、チームと目標を共に設定するなど、いかなる場合でも大胆さは持続的な原動力となる。グラティは「大胆さは安易な道を求める人が持つものではない。勇気を奮い起こす時、私たちは行動を起こす意欲に駆られる。この活性化させる効果は、懸命に働いてもバーンアウト(燃え尽き症候群)に陥る可能性は低くなることを意味する」と説明する。

リーダーが行動を起こす前に完全情報を待つことが多い現代において、「勇気はリーダーシップの付属品ではなく、その原動力だ。大胆さは恐怖を消し去らない。恐怖に決断を委ねることを拒む」というグラティのメッセージは切迫感を持って響く。

forbes.com 原文

翻訳=溝口慈子

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事


advertisement