健康

2025.12.14 14:00

肥満治療薬「GLP-1」が脱毛の原因に? 専門家が真偽を解説

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脱毛の科学

実際のところは、どうなのだろう──? GLP-1薬は、毛包を破壊する直接的な原因にはならないという。皮膚科医や内分泌科医たちは、「真犯人」は代謝ストレスによって引き起こされる一時的な抜け毛、「テロゲン・エフルビウム(TE、休止期脱毛症)」であるとの見方を示している。

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GLP-1薬を使用することで1カ月に約4.5~9kgも急激に体重が減少すれば、体はショックを受ける。その結果、より多くの毛包が本来よりも早い時期に休止期(テロゲン期)に入り、使用開始から2~3カ月後には抜け毛が大幅に増加するという。特に影響を受けることになるのは、積極的な治療を受けている(使用量が多い)人、糖尿病ではなくやせるために使用している人、あるいはもともと栄養が不足している人だ。

これまでの研究結果で指摘されているのは、急激な体重減少に伴って顕著に現れる特徴的な変化、摂取カロリーの減少による鉄分とタンパク質、亜鉛、ビオチンの不足、コルチゾール値の上昇やインスリン値の変動といったホルモン分泌量の変化との関連性だ。 

また、内分泌学と代謝に関する分野の査読済みジャーナル、『Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism』に2025年9月に掲載されたレビュー論文によると、GLP-1薬の使用者に見られる一時的な脱毛は「自己限定的」なものであると考えられ、体重が安定し、栄養状態が回復する3~6カ月後には発毛期に入るとされている。これまでのところ、服用によって毛包が永続的なダメージを受けることを示す証拠は得られていないという。ただ、脱毛が精神的な苦痛の原因になることは確かだ。特に女性に多いボディイメージに関する悩みを持った人たちにとっては、さらに大きな精神的ダメージとなる。

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SNSには誤った情報も

美容に関するジレンマについての情報と同じように、GLP-1薬と脱毛の関連性について警鐘を鳴らすような情報が最初に広まったのは、SNSだった。TikTokには、「オゼンピックと髪のホラーストーリー」などのキャプションをつけた投稿が相次いだ。

だが、専門家たちは、そうした情報を信じる必要はないとしている。発毛が専門の美容外科医、ジェス・スミスは、「問題は注射剤ではありません。変化の速度です」と述べている。

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編集=木内涼子

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