経営・戦略

2025.12.13 11:06

ユニコーン企業を創る:ビジョナリーな創業者から戦略的CEOへの転換

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Dr. ファウスティーノ・ジュニオル氏、FGMEDの創業者兼CEO。

ユニコーン」という言葉は、企業価値が10億ドルを超える非上場のスタートアップを指し、起業家的成功の究極のシンボルとなっている。しかし私は、この節目への執着が、より重要な真実を見えなくしていると考える。企業価値評価は目標ではなく、副産物なのだ。真の旅は、ビジョナリーな創業者から戦略的CEOへの深遠なリーダーシップの進化を乗り越えることにある。

私自身のラテンアメリカのエドテック企業を例に挙げると、当社は医師免許試験の準備に特化し、ブラジルで同種最大の企業となった後、他の分野へ拡大した。この規律が防御性と顧客の粘着性を生み出し、競合が反応する前にリーダーシップを確立した。教訓は単純だ:多角化する前に一つの垂直分野を極めよ。

10億ドルの価値がある問題を解決する

ユニコーンは、何百万人もの人々が抱える大規模で根深い問題を解決することから生まれる。企業の潜在的な規模は、あなたが取り組む問題の規模に比例する。既存市場のシェアをどう獲得するかではなく、既存市場を時代遅れにするような革新的なソリューションをどう生み出すかを考えるべきだ。

Uberは単により良いタクシーサービスを構築しただけではない。彼らは配車ネットワーク会社というカテゴリーの確立を助け、個人の移動手段を再定義した。これが第一の原則だ:段階的な改善を目指すのではなく、新たな基準となる革命的な製品の構築を目指せ。価値を創造すれば、企業価値評価は後からついてくる。

ハイパーグロースのエンジンを設計する

大規模な問題を特定したら、実行がすべてとなる。指数関数的な成長が可能な企業を構築するには、3つの運営の柱に対する規律ある集中が必要だ。

1. 初期段階では、容赦ない集中が最大の武器となる。コア製品を完成させる前に新機能や新市場を追いかける誘惑は致命的だ。最も効果的な戦略は、拡大する前に特定のニッチ市場を支配して深いプロダクト・マーケット・フィットを達成するために、すべてのリソースを集中させることだ。戦力を薄く広げれば、出し抜かれることは確実だ。

2. スタートアップの世界では、完璧さよりも武器化されたスピードが重要だ。競合よりも速く実行し、学習し、適応する能力が、あなたの最大の強みとなる。これは、ミスが貴重な市場情報のために支払った授業料となる文化を育むことを意味する。目標は、エリック・リースが『リーン・スタートアップ』で普及させた「構築、測定、学習」のフィードバックループを加速し、それが組織の反射神経となるまで続けることだ。

3. 人材を育成し維持する能力が、勝者と敗者を分ける。あなたの最も重要な仕事は、素晴らしいチームを構築することだ。組織の成功は最終的に、その人材の質によって決まる。採用を管理業務ではなく、戦略的機能として扱おう。経験だけでなく、潜在能力、意欲、会社と共に成長する能力を見て採用しよう。チームこそが究極の力の乗数だ。

創業者のジレンマ:クリエイターか、オペレーターか

スタートアップが成功すると、その創造を促した能力そのものが、成長の障壁となりうる。ここで「創業者」と「CEO」の区別が重要になる。これらは同義語ではなく、異なるマインドセットとスキルセットを表している。

創業者はビジョナリーなクリエイターだ。スティーブ・ジョブズは、ユーザー体験とデザインへの執着的な集中を通じて、既存のアイデアを革命的な製品に洗練させることを極めた。創業者の役割は、世界に新しいものをもたらすことだ。

CEOは戦略的なオペレーターであり、スケーラブルなシステムを構築する。イーロン・マスク氏は、複数のベンチャーにまたがる膨大な運営の複雑さを管理し、グローバルな規模で実行を推進することに優れていると私は考える。CEOの仕事は、創業者のビジョンを一貫して収益性高く世界に届ける組織を構築することだ。

1990年代から2000年代初頭のスタートアップを対象とした古典的なハーバード・ビジネス・レビューの研究によると、IPO時点でもCEOを務めていた創業者は25%未満だった(一部のセクターでは、より最近のデータセットでより高い割合を示している)。しかし、これは多くの場合、失敗の兆候ではなく成功の証だ。単に会社が創業者の当初のスキルセットを超えて成長し、次の段階を乗り切るための新しいリーダーシップを必要としているのだ。

変態:「実行する」から「導く」へのシフト

舵を取り続けることを選んだ創業者には、深い個人的変革が求められる。主要な「実行者」から、実行者のリーダーへと進化しなければならない。これには2つの重要なシフトが含まれる。

まず、戦略的な権限委譲を習得する。これは嫌いな仕事を押し付けることではなく、あなただけが解決できる少数の高レバレッジな問題—ビジョンの設定、資本配分、主要なステークホルダーの管理、文化の形成—にあなたの注意を意図的に再配分することだ。

次に、製品の構築から組織の構築へと焦点をシフトする。会社自体があなたの新しい製品となる。その構造、コミュニケーションの流れ、オペレーティングシステムは、かつてコードやハードウェアに適用したのと同じ意図性をもって設計されなければならない。

第三に、専門的な経営機能を統合する。CFOの視点は、厳格な財務管理とインテリジェントな税務計画を確保しなければならない。同時に、CMOの使命は、事業を深い市場インパクトを生み出し、人々の生活に真の変革をもたらすブランドに構築することだ。この旅には深い個人的・職業的経験と、継続的に学び適応する謙虚さが必要だ。

エンドゲーム:ユニコーンから永続的な機関へ

10億ドルの企業価値評価の達成は、目的地ではなく通過点だ。究極の目標は、あなたがいなくなった後も革新し価値を創造し続ける、永続的な機関を構築することだ。このマラソンにおける最終的な競争優位性は文化だ。

文化とは、あなたがその場にいないときの意思決定を導く目に見えないオペレーティングシステムだ。それは会社が分裂せずに拡大することを可能にする。革新、説明責任、顧客中心主義に報いる文化を意図的に設計することで、あなたのビジョンを組織の基盤に組み込むことができる。

創業者からCEOへの移行の最終テストは、あなたを必要としない会社を構築できたかどうかだ。真のレガシーとは、一個人に依存するビジネスではなく、世代を超えたリーダーたちがミッションを前進させることを可能にする、回復力のある組織だ。それこそが究極の投資リターンなのだ。

forbes.com 原文

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