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2025.12.16 17:00

なぜか気まずい会話を「何度も思い出してしまう」──5つの理由と負のループから抜け出す方法

Shutterstock.com

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会話が楽しいもの、不快なものにかかわらず、後になってそのやり取りを何度も思い返したという経験は誰でもあるはずだ。言葉や口調、ボディランゲージ、間合いまで徹底的に分析する。こうした傾向が自分にとって普通のことのように感じられても、そうではないことがある。

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多くの人にとって、この頭の中での再生は単に煩わしいだけかもしれない。だが中には睡眠を奪われ、深い苦痛を覚える人もいる。これを単なる虚しく感傷的な反応、あるいは無害な考えすぎと片付けてはいけない。こうした思い返しは気分や不安、社会的な場面でうまくやれるという自信に影響を与え、時には深く染み付くことが研究で示されている。

思考の再生に囚われていると感じる人のために、その最も一般的な原因5つと心理学的見解を解説しよう。

1. ネガティブな出来事の追体験

心理学で最も確固たる知見の1つは、人間はポジティブな経験よりネガティブな経験に注意を向ける傾向があるということだ。これはネガティビティバイアスと呼ばれ、脅威や危険と同様に社会的相互作用に強く影響する。

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専門誌『Cognitive Affective & Behavioral Neuroscience』に2024年に掲載された神経画像の研究で、心配と反芻思考は特に自己関連付け処理に関係する領域で類似した神経パターンを示すことがわかった。これは、会話中の当惑や不確かさといった脅威を脳が感知すると、あたかも問題を解決するかのように反復的な再検討に陥ることを裏付けている。残念ながら、脳は修正の必要がない場合でも、社会的な場面での居心地の悪さを解くべきパズルのように扱う。

交流の場での恥ずかしい、あるいは気まずい状況の解決策は大抵の場合、笑い飛ばす、話題を変える、気持ちを切り替える、あるいは単に忘れることだ。これらのアプローチに共通するのは、その出来事に固執しない、ということだ。だが、ネガティビティバイアスが働くと、私たちは往々にして逆のことをしてしまい、気まずいやり取りの細部を頭の中で反芻してしまう傾向がある。

2. 社交不安の高まり

社交不安とは単純な社交場面での極度のパニックや目に見える緊張を指すものだと誤解しがちだ。だが実際には、社交不安はもっと微妙な形で現れる。その最も明白な行動の指標の1つが事後の反芻思考、つまりやり取りを頭の中で再生し、潜在的なミスを探す行為だ。

専門誌『Journal of Psychiatric Research』に2024年に発表されたメタ分析では、社交不安の症状と、事後にやり取りを反芻する程度との間に中程度の相関があることがわかった。否定的な評価を恐れる度合いが強いほど、会話の詳細を分析する傾向が強くなる。

たとえ自信がある、あるいは社交的だと自認している人でも、他人からの評価に対する過敏さは残っている場合がある。反芻はその評価を監視し、制御しようとする心の働きであることが多い。

3. コミュニケーションに関して完璧主義

多くの人は往々にして、幼少期に「完璧に意思疎通をとること」「他人を失望させないこと」「場の感情の度合いを管理すること」が自分の役割だと信じるようになる。こうした期待を取り込むと日常会話さえも重大なパフォーマンスのように感じられる。

研究によると、順応性のない完璧主義が強い人は社交があった後の反芻など、より反復的なネガティブ思考に陥りやすい。「もっと上手く言うべきだった」「相手の意図を理解すべきだった」という考えをすることで、延々思い返す環境が作り出される。

普通に終わった会話さえも思い返してしまうのはこのためだ。その再生がどれほど心理的なスペースを占めるかは状況ではなく、その人次第だ。

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翻訳=溝口慈子

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