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2025.12.16 17:00

なぜか気まずい会話を「何度も思い出してしまう」──5つの理由と負のループから抜け出す方法

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4. 感情を調節できるという思い込み

会話の再生は一時的な支配感を生み出すため、それを繰り返す人もいる。交流は終わっているのに、それを振り返ることで何かを掌握した、あるいは準備ができたという錯覚を得る。

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前述の研究を含め、反復的なネガティブ思考に関する研究は一貫して、人が反芻思考に走るのは「洞察を得られる」「将来の失敗を防げる」と信じているからだと指摘している。しかし結果はたいてい逆だ。反芻はネガティブな気分を解消するどころか、むしろ増幅させる傾向がある。

これは必ずしも本人に問題があるわけではなく、単に脳が効果的でない方法で助けようとしているだけだ。

5. 誤解されることへの恐れ

会話を再生する傾向は、幼少期の人間関係に基づく経験からも生じ得る。特に誤解や詳細の記憶違い、「間違った」発言が、対立・罰・感情的な引きこもりを招いた環境で育った人に顕著だ。

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一貫性のない、あるいは批判的な環境で育った人は、大人になってから過度に自己を監視するようになり、自己中心的な思考の反復パターンが強まる傾向があることが研究で示されている。そうした人の脳は幼少期に、会話の反芻は自己防衛手段だと学習したのだ。

周囲にいる人の反応が予測不能な環境で育った場合、会話の再生は単なる反芻思考ではないかもしれない。古い生存戦略が再浮上している可能性がある。

頭の中での会話の反芻を止める方法

反芻思考を止めたいなら、会話全体を考えないことを目標とすべきではない。代わりに、脳を分析モードからより地に足のついた状態へ移行させることを目指すべきだ。そのための研究に基づく戦略をいくつか紹介しよう。

・パターンを認識する:単に「これは事後処理だ」と認識するだけで反芻は弱まる。

・気持ちを落ち着かせる質問をする:例えば「これは気分を良くするものか、それとも心の準備をさせるものか」と自問する。

・分析ではなく感覚に注意を向ける:ほんの数秒でも気持ちを落ち着かせること(例えば地面につけている足や顔に当たる日差しを感じることなど)で、ループを中断できる。

・状況確認の時間を設定する:頭がどうしても振り返ろうとする場合、会話後の5分のクールダウンを経て「反芻セッション」を設ける。矛盾しているように思えるかもしれないが、その頃には脳は通常、興味を失っている。

頭の中で会話を再生するのは、必ずしも後悔や罪悪感のためではない。時には、脳が「必要だ」と判断した行動、つまり意味づけや自己防衛、安全確保のリハーサル、コントロール回復の試みである場合もある。しかし再生が慢性化すると、往々にして足を引っ張る。エネルギーを消耗し、気分が落ち込み、記憶を歪めるという感情的な悪循環に陥る。

こうしたことから、繰り返す思考を根強い習慣として扱うといいかもしれない。徐々にそれを従うべき指示ではなく、背景の雑音として扱うよう脳を訓練できる。自覚と意図、心理的ツールを用いればぐるぐる思考から離れ、今この瞬間を再認識し、平静を取り戻せる。

forbes.com 原文

翻訳=溝口慈子

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