米国人の半数以上が、今年のクリスマスに贈り物を購入するのが昨年より困難になったと訴えている。一方、ドナルド・トランプ米大統領は、有権者は生活に苦労していないと主張し続けている。
米AP通信と米シカゴ大学NORC公共問題研究センターが実施した世論調査によると、回答者のほぼ半数(48%)が「今年は例年より非必需品の買い物を控えている」と回答。物価が上昇する中、貯蓄を切り崩す割合(回答者の39%)や特売品を探す割合(同50%)が増加している。
回答者の48%は、節約の一環として大きな買い物を先延ばしにしているとし、2021年に同じ質問をした際の31%から増加した。回答者の圧倒的多数は、食品(87%が「高くなった」と回答)、電気代(同69%)、クリスマスの贈り物(同63%)など、特に支出額の大きい品目の価格上昇を実感していると報告した。
年収5万ドル(約780万円)未満の低所得層と年収5万~10万ドル(約780万~1560万円)の中所得層は、贈り物や祝日用の食材を購入する資金のやりくりに苦労しているとする割合が大きかった。米国人の3分の2が、国内経済の状況を「悪い」と評価していた。
同世論調査は12月4~8日にかけて全米の成人1146人を対象に実施された。
米国人は過去数カ月間にわたり、生活必需品の購入が困難になっていると訴えている。実際、生活必需品の価格はほぼ全ての品目で上昇している。一方、トランプ政権はそうした国民の声を退けている。インフレが加速しているにもかかわらず、トランプ大統領は11日、自ら創設したSNSのトゥルースソーシャルに、物価は下落していると投稿した。ハワード・ラトニック商務長官も同日、「悪いことは何も起きていない」とした上で、経済は「好調」だと主張した。
トランプ大統領は、自身の経済運営に対する否定的な見方は全て民主党による詐欺だと繰り返し主張している。国民の46%が生活費高騰の責任はトランプ大統領にあると回答したことに対し、同大統領は世論調査を信用していないと一蹴した。
同大統領は今週、東部ペンシルベニア州で演説し、今年のクリスマスには子ども向けのおもちゃの購入を減らすよう国民に呼びかけた。トランプ大統領は鉄鋼への関税引き上げを擁護した上で、「特定の製品は諦めることも必要だ」と主張。国民に対し、「娘に37体の人形を買い与える必要はない。2体か3体でちょうどいい。37体の人形なんて必要ない」と語りかけた。
現在入手可能な最新の数値である9月時点のインフレ率は3%だった。最新の消費者物価指数(CPI)データによると、食品、電気、ガス、自動車、医療、住居、交通の価格が昨年9月以降、軒並み上昇していることが明らかになった。
今回の世論調査では、回答者の49%が「ここ数カ月間でガソリン価格が通常より高くなっている」と答えたが、ガソリン価格は2021年以来の最低水準付近で推移している。米自動車協会(AAA)によると、12日の時点で米国のレギュラーガソリン1ガロン(約3.8リットル)の平均価格は2.93ドル(約457円)だった。昨年の同時期、ガソリンの平均価格は3.02ドル(約471円)前後で推移していた。



