サイエンス

2025.12.15 18:00

犠牲と共に、現代医学に不可欠な薬をもたらした「有毒植物3種」

キニーネの製造(deden iman / Shutterstock.com)

キニーネの製造(deden iman / Shutterstock.com)

現代医学は、研究施設で始まったわけではない。真のその起源は、治療者が植物の葉や根、樹皮や花を集めた、森や野山や河原にある。

こうした植物には、有毒のものもあれば、治療効果を持つものもあり、両方を兼ね備えるものもある。何より、こうしたプロセスは、化学や臨床試験が影も形もなかった時代から、延々と続いてきた。

人類史のなかで利用されてきた無数の薬草の中で、世界の医療に特に絶大な影響を与えたのが、キナノキ、ヤナギ、ジギタリス(和名:キツネノテブクロ)だ。

これらの植物がたどった、民間医療から医薬品への道は平坦なものではなかった。それぞれが、試行錯誤、植民地の搾取、誤った処方による惨事、悲劇的な誤解に満ちていた。

適切に用いれば実に効果的だが、十分な理解がなければ危険にもなり得る3種の植物について、以下で詳しく紹介していこう。

次ページ > 1. キナノキ――マラリア薬キニーネをもたらした有毒の樹木

翻訳=的場知之/ガリレオ

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