時間追跡サービスのClockifyによると、アメリカの従業員は、オーストラリア、カナダ、フランス、オランダなどの安定した経済を持つ様々な国の従業員と比較して、年間260時間多く働いています。これは1日あたり1.1時間に相当します。毎日自分のために1時間余分に時間があったら、何をするか想像してみてください。おそらくワークライフバランスは改善するでしょう。そしてそれは切実に必要とされています。なぜなら、OECDが継続的に実施しているモニター調査によると、米国はワークライフバランスにおいて49カ国中21位にランクされ、10点満点中わずか5.2点という低いスコアを獲得しているからです。特に働く親は高いストレスを経験しています。米国公衆衛生局長官は親のストレスを重大な公衆衛生上の問題と位置づけました。その理由は？長時間労働と全国的な有給育児休暇制度の欠如です。これら2つの主要指標がOECDベターライフインデックスにおいて米国のワークライフバランススコアを引き下げています。多くの働く親は自分の労働時間を決める余裕がありません。パートタイムの仕事が常に選択肢になるわけではなく、生活費の上昇により、収入を減らすことは多くの人にとって現実的ではありません。
仕事以外の生活のために魔法のように時間を増やすことができないなら、別の戦略として、幸せを感じるために必要なものに焦点を移すことが考えられます。ロチェスター大学の心理学名誉教授であるリチャード・ライアン氏とエドワード・デシ氏は、人が成長するために必要なものを長年研究してきました。彼らは幸福の最も基本的な構成要素を3つの心理的ニーズに絞り込みました。私たちは、自分のしていることに有能感を持ち、他者とつながり、自分の人生をコントロールしていると感じるとき、幸せを感じるのです。理想的な世界では、すべての生活の役割においてこれら3つのニーズをすべて満たし、仕事でも家庭でも完全に充実感を得られるでしょう。しかし、多くの親にとって現実である時間的余裕のなさに直面している場合、より戦略的に役割を活用することができます。各役割ですべてを達成しようとするのではなく、役割を合わせて3つのニーズをカバーするようにするのです。その方法は次の通りです。
1. 各役割の重要性を数値化する
戦略を立てるには、まず自分にとって本当に重要な生活上の役割を決定します。役割は、人生で幸せを感じるために必要なほど重要であるべきです。平均して、北米の人々は仕事、家族、友人、運動、スポーツ、ボランティアなど、5つの異なる役割を持っています。簡単にするために、この演習では最初に2つの役割（仕事と家族）を使い、2回目でさらに役割を追加することもできます。次に、各役割の相対的な重要性について正直に自問自答してください。これは、役割に合計100ポイントを割り当てることで行えます。仕事と家族が全く同じくらい重要ですか？その場合、各役割は50ポイントずつ獲得します。仕事がはるかに重要であれば、仕事に75ポイント、家族に25ポイントを与えます（またはその逆）。あるいは、4つの役割（仕事、家族、友人、運動）があり、仕事と家族が同じくらい重要だが、友人や運動よりも重要である場合、ポイント配分の例としては、仕事35、家族35、友人20、運動10となります。重要なのは、他人があなたに価値を置くべきだと思うものではなく、あなた自身がどれだけ価値を置いているかに沿って役割をランク付けすることです。
2. 役割を戦略的に活用する
この第2ステップでは、あなたの役割が合わせて3つの心理的ニーズをカバーしているかを確認します。あなたの役割について考え、特定のニーズを満たすための自然な候補となる役割があるかどうかを検討してください。例えば、幸せな結婚生活を送っている人は、家族の領域で自然に所属感のニーズを満たすでしょう。意思決定の自由度が高い管理職にある人は、仕事で自然にコントロール感を得られるかもしれません。あるいは、あなたが秀でている趣味があるかもしれません。このステップを進める際には、各役割がどれだけ重要かを念頭に置いてください。例えば、最も重要な役割でニーズが満たされていないのに、わずか10ポイントの役割でほとんどのニーズを満たすというのは意味がありません。経験則として、あなたにとって最も重要な役割では、少なくとも1つのニーズを満たすようにしましょう。
3. できていないことにこだわるのをやめる
働く親にとっておそらく最も重要なステップは、自分に厳しくしすぎないことです。今日、幼児のかんしゃくにうまく対処できなかったとしても、それは起こりうることです。仕事ではスター的な活躍をしたかもしれません。あるいはそうでなくても、明日という日があります。自分の失敗や手をつけられなかったすべてのことに焦点を当てるのではなく、達成したことのリストを書き出してください。日々の生活から一歩引いて、過去3カ月間にこなしてきたすべての役割について考えてみましょう。また、1週間で自分に期待する最低限の、しかし現実的な基準を設定することも役立ちます。例えば、週に少なくとも4日は仕事で高いパフォーマンスを発揮し、週に6日は忍耐強い親であり、友人に1回電話し、2回運動するといった具合です。これは、仕事の会議中に最高の状態でなかったり、10代の子どもが何度目かのからのクラッカーの箱をパントリーに放置したときに一度怒ったりしても、自分を許せるということです。
4. 他人と自分を比較しない
一見完璧な親、完璧な従業員、あるいはもっと悪いことに、すべてにおいて完璧な人々はどこにでもいます。ソーシャルメディアは、そうしたロールモデルから逃れることをさらに難しくしています。次に理想的な役割をこなす人を見かけたら、彼らが完璧である証拠が何かあるか自問してみてください。人は通常、自分の人生でうまくいっていないことを宣伝しません。あなたが全体像を知らない可能性が高いのです。そして、もし完璧な人生を送るユニコーンに出会ったとしても、それは彼らにとって良いことです。そういった完璧な人々はそのままにして、代わりに自分自身だけに集中しましょう。あなたの人生で起こることだけが、あなたの幸福にとって重要なことなのです。しばらくの間ソーシャルメディアから離れてみるという実験をしてみてください。そして、信頼できる人々とあなたの人生の浮き沈みについて正直な会話をしてください。そのような誠実な会話は私たちに繋がりを感じさせ、事実上誰もが人生において素晴らしい時期、そうでもない時期、そしておそらく惨めな時期さえも経験することを示してくれます。
これら4つのシンプルなステップは、あなたの人生を完璧にするものではなく、ましてやバランスをもたらすものでもないかもしれません。しかし、少なくとも、幸せを感じることに少し近づけてくれるでしょう。
