北米

2025.12.12 09:00

米新規失業保険申請件数は23.6万件、約5年間で最大の増加に

Spencer Platt/Getty Images

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米国の新規失業保険申請件数は先週、過去5年で最大の増加となった。これは労働省が米国時間12月11日に発表した週間データによるもので、前週には過去3年で最も低い水準だった申請件数が増加に転じたことで、労働市場への懸念が依然残るかたちとなった。

労働省によれば、先週の新規失業保険申請件数は23万6000件となり、前週の19万2000件(修正後)から4万4000件の増加となり、ファクトセットがまとめた市場予想の21万3000件を大きく上回った。

これは週間の増加幅としては2020年3月以来で最大だ。一方、前週の申請件数は2023年3月以来最低の水準だった。

すでに失業保険を受給している人の総数を指す継続受給者数は183万人に減少し、前週比でおよそ約10万人減少した。

連邦準備制度理事会(FRB)は10日、政策金利の誘導目標を25ベーシスポイント引き下げ、3.5%~3.75%のレンジとした。ジェローム・パウエル議長は、この決定の理由として「徐々に冷え込みつつある」労働市場を挙げ、連邦政府が公表する雇用者数は1カ月あたり6万人過大に計上されている可能性があるとした。9日に公表された遅延データでは、10月の求人件数は約767万件となり、8月の約720万件や9月の約765万件を上回った。「我々は、これらの数字には過大計上があると考えている」とパウエルは述べ、「労働市場が圧力を受け、実際には雇用創出がマイナスになっている可能性すらあるという、複雑で異例かつ難しい状況だ」と付け加えた。

労働統計局(BLS)は11月の失業率データを12月16日に公表する予定である。ファクトセットがまとめた市場予想では、非農業部門の新規雇用者数は3万人、失業率は9月の4.4%から4.5%に上昇すると見られている。なお、11月データには10月分の雇用統計が含まれるが、これには失業率は含まれないとBLSは説明している。

米国の労働市場を巡る幅広い懸念は数カ月にわたり続いており、政府閉鎖により、より詳しい洞察を与えるはずだった主要な経済報告が遅延した。

代替データや証券会社による推計は悪化する労働市場を示している。民間給与処理会社のADPは12月初め、11月の民間雇用者数は3万2000人減少し、単月の減少としては2023年以来最大だと報告した。同社は以前から、民間企業が10月に「苦戦した」と警告していた。さらに、インディードは10月の求人件数が2021年2月以来の最低水準に落ち込んだと報告しており、これは同月の求人が急増したとするBLSの報告とは矛盾している。

forbes.com原文

翻訳=江津拓哉

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