イーロン・マスクは米国時間12月10日夜、彼が率いる宇宙開発企業のスペースXが、推定約1兆ドル(約155兆円。1ドル=155円換算)の評価額で来年にもIPO(新規株式公開)を目指しているとの報道を、事実上確認するような発言をした。これは史上最大規模のIPOとなる可能性がある。
過去数週間、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)とブルームバーグは、スペースXによる最近のプライベート市場での株式売却と、2026年にIPOする計画について報じていた。
10日、マスクは、Ars Technica(アーズ・テクニカ)の宇宙担当編集者エリック・バーガーが「長年抵抗してきた後になぜ今スペースXが上場を計画しているのか」について論じた記事に反応した。
バーガーはこの記事をXで共有し、「スペースXが近いうちに上場すると私が考える理由がこれだ」と書いた。これに対しマスクは「いつも通り、エリックは正確だ」と返信したが、詳細は述べなかった。
マスクはその後、この件に関する追加投稿を行わなかったが、人類の宇宙旅行を約束する過去のスペースXの投稿をリポストした。
12月初め、WSJはスペースXがセカンダリーセールを実施していると報じた。その際の同社の評価額は8000億ドル(約124兆円)とされている。これは7月に実施したセカンダリーセール時の評価額である4000億ドル(約62兆円)の2倍にあたる数字だ。同報道によれば、スペースXのブレット・ジョンセンCFOは投資家に対し、2026年のIPOを検討していると述べたという。
さらに9日、ブルームバーグは、スペースXがIPO計画を進めており、「300億ドル(約4.7兆円)を大幅に超える」資金調達を目指していると報じた。さらに同報道では、スペースXはIPO時の評価額の目標を約1兆5000億ドル(約232.5兆円)としており、これはWSJが報じたセカンダリーセール時の評価額のほぼ2倍であるとされた。匿名情報源を引用し、ブルームバーグは、この株式公開が「2026年半ばから後半」に行われる可能性があるが、2027年までずれ込む可能性もあると付け加えた。
これまでの史上最大のIPOは、サウジアラビア国営の石油大手サウジアラムコが2020年に実施したもので、当時の調達金額は294億ドル(約4.6兆円)だった。同社はこのIPOで当初256億ドル(約4兆円)を調達したが、需要増により4億5000万株の追加発行オプションを行使し、調達額は294億ドル(約4.6兆円)に増えた。ブルームバーグによれば、スペースXのIPOは「300億ドル(約4.7兆円)を大幅に超える」額の調達を計画しており、アラムコの記録を上回る見通しだ。
マスクが「正確だ」と述べたアーズ・テクニカの記事は、スペースXが今後18カ月で「巨額の資金」を調達する可能性があり、それにより同社はAIやロボティクス関連分野の取り組みを推進すると主張していた。同記事は、宇宙空間でデータセンターを構築するためにスターリンク衛星群を拡大する計画についてのマスクの投稿を引用している。先日、マスクは再びこの話題に触れ、「ローカルなAI演算能力を持つ衛星」が、3年以内にAI生成データを伝送する「最も低コストな方法」になると主張した。



