1. 糖をベースにした保護:セラグネラ・レピドフィラは、水分を失ったとき、とてつもない量のトレハロースを蓄積する。トレハロースは、タンパク質と細胞膜を安定させることで知られる糖だ。この糖は、水分が失われ続ける間も、細胞の構造が壊れるのを防ぐ分子足場として機能する。研究は、乾燥過程においてセラグネラ・レピドフィラのトレハロース濃度が著しく上昇し、これが細胞内にほぼ「ガラス状」の構造を形成するのに寄与することを示している。
2. 抗酸化と保護タンパク質:細胞が脱水状態になると、活性酸素(ROS)が急増する。この過程で、DNAやタンパク質が損傷を受けることが多い。しかし復活植物は、抗酸化物質群と後期胚発生蓄積(LEA)タンパク質によって、これに対抗する。これらは、他のタンパク質が変性するのを防ぐ、小さく柔軟な分子だ。『Molecular Plant』に掲載された研究は、乾燥ストレスを受けたセラグネラ・レピドフィラは、LEAタンパク質(およびその他のストレス応答遺伝子)の劇的な発現増加を引き起こすことを示した。
3. 柔軟な細胞壁:ほとんどの植物の細胞は、乾燥しすぎると割れてしまう。しかし、レピドフィラ・セラギネラの細胞壁には、特異な構造のペクチンが含まれており、これが、植物体を繰り返し曲げても折れないようにしている。その後、水分が戻ると、細胞壁は滑らかに広がりながら、細胞の形状も復元する。
復活植物の再生は、驚くほど速く、劇的とも言える。水を再び与えてから数分も経たないうちに、丸まっていた植物体が元に戻り始める。数時間以内に、以前は固く凝集して休眠状態にあった葉緑体が広がり始め、やがて光合成を完全に再活性化し、代謝経路の再構築を開始できるようになる。
復活植物の生存戦略が、人類にとって重要な理由
極端な乾燥耐性は、農業、気候レジリエンス、バイオテクノロジーに現実的な影響をもたらす。具体的には以下の通りだ。
1. 干ばつに強い作物の開発:復活植物が、細胞膜を安定化させ、タンパク質を保護し、ストレス関連遺伝子を調節する仕組みを理解することで、より長期間水なしで生存できる作物を科学者が開発するのに役立つ可能性がある。
2. 生物素材の保存:トレハロースを基盤とするガラス化法は、ワクチンの安定化、生物試料の保存、酵素の保存期間延長のために、すでに研究が進められている。
3. 宇宙生物学や地球外での生存:月や火星など地球以外の場所で植物を栽培する日が来れば、極限のストレスに耐えられる種が必要となる。復活植物は、そのための自然の設計図を提供してくれる。
復活植物の生存戦略は、生命が生き残るためには、必ずしも成長の速さやサイズの大きさが必要というわけではないことを思い出させてくれる。時には、じっとしていることで報われることもあるのだ。
復活植物は、周囲のすべてが枯れ果てた後でも長く耐え忍び、まれにしか降らない砂漠の雨を辛抱強く待ち続ける。そして、その時が来れば──十年近くが過ぎているかもしれないが──、再び広がり、緑を茂らせ、新たな命を吹き返す。
彼らは、不死身ではないかもしれないが、それでもなお、地球上で最も強靭な生命形態の一つと言えるだろう。


