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2025.12.17 09:15

物価高に立ち向かう「メリハリ消費」の実態と矛盾する消費心理

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昨今の物価上昇は、多くの家計に深刻な影響を与え続けている。ソニー銀行が行った意識調査では、約9割の回答者が節約を意識しており、「食料品」(85%)と「外食」(52%)が特に価格が上がったと感じるものの上位となっている。この物価上昇に対し、消費者がどのような行動を取っているのかが見えてきた。

現在節約しているものとして、価格上昇を感じる項目と一致して、「食料品」(48%)と「外食」(38%)が上位を占めている。日常的な支出である食費や外食費を抑えることで、家計への圧迫を緩和しようとする姿勢がうかがえる。

しかし、商品やサービスを選ぶ際の基準は、「信頼性が高い」(62%)や「安全性が高い」(50%)といった項目が、「価格の安さ」(46%)を上回る結果となった。特に食料品など、節約の対象としつつも、品質や安心感を重視する傾向が見て取れ、ただ安いものを選ぶのではなく、「確かなもの」を選ぼうとする意識が高まっている。

全体として節約を意識しながらも、価格が上がってもお金をかけたいものについては、「旅行」と「食料品」がともに51%で突出した。

一見矛盾するようだが、食料品は「節約対象」のトップである一方で、「お金をかけたいもの」のトップにも位置しており、これは安全・信頼性を重視し、価値を感じる食料品には出費を許容するというメリハリ消費が意識されていることを示唆している。

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文=飯島範久

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