誰もがローカル戦略を策定すべき理由
ローカルコミュニティを通じたつながりの構築を支援するソーシャルアプリ「LOCL」の創業者ボブ・ダルトンは、ポッドキャスト番組「Future Nonprofit」のなかで、次のように述べている。
「相手がどんな規模の組織であれ、私は、『どんなローカル戦略を持っていますか?』と問いかける。相手が全国規模の組織であっても、同じ質問をするだろう。ローカルレベルで意味のある形で推進されないかぎり、本物の変化は起こり得ない──現実はそういうものなのだ。(中略)ローカル戦略を持つことなく、地域、全国、グローバル規模の組織にとどまっているかぎり、この世界に本物の変化をもたらすことはできない。(中略)ローカル戦略は、組織全体を前進させる上で、最も効果的な戦略の一つだと私は考えている」
ダルトンの見解は、確かな事実を物語っている。有意義なインパクトの未来は、ローカルにあるのだ。ローカル戦略を策定することは、国全体のビジョンやグローバルなビジョンを捨てることを意味しない。むしろ、こうしたビジョンを、具体的な人間関係、信頼、コミュニティに落とし込む試みだ。
多くの組織は、大規模なイニシアチブに力を入れる一方で、日常に潜む小規模なイノベーションのチャンスを見落としている。こうしたチャンスは、特定の地区、ネットワーク、都市のなかにある。リアルな関係から得られるインサイトはしばしば、データだけからでは得られない本質を突く。
最も影響力のある世界的ムーブメントは、たいてい地域に密着したムーブメントとして始まる。良好なビジネスと永続的変化は、どちらも強固なローカル戦略から始まるのだ。
推奨されるアクション
個人、チーム、組織が実践すべき、ローカルな行動指針を以下にまとめた。
身の回りのローカルな現状分析から始める
・自分が肌感覚の知識を持っている、具体的なコミュニティ、業界、地理的エリア(都市、国、地域、セクターなど)を特定する
・AIが解決に役立ちそうな慢性的課題(サービスの遅延、インフラの不備、領域固有の知識ギャップ、言語や文化の壁など)を特定する
・公的統計、民間データ、業界データなど、既存のデータソースを収集する
小規模かつローカルなパイロットプロジェクトを実施する
・オープンソースのAIフレームワーク、ローコードプラットフォーム、エッジ・IoTツールキットを利用する
・スコープを狭く保つ。1つのサービス、1つの地域、1つのワークフローの問題解決に集中する
・ローカルパートナーと緊密に連携する。地方自治体、NGO、ビジネスネットワーク、学術機関などが候補となる。信頼構築が不可欠であることを肝に銘じよう
・早い段階でインパクトを測定する(時間やコストの削減幅、ユーザーの満足度など、測定可能なKPI[重要業績評価指標]として)


