AI

2025.12.12 13:00

人間の監督なしにスケールできる、自律型AIシステムを巡る開発競争

Supatman / Getty Images

Revmaticsの自己改善型AIビルダー

先日、Revmatics.aiの共同創業者でCEOのリッキー・レイ・バトラーに話を聞いた。同社は、データと独自のインテリジェンスを活用して未開拓のオーディエンスからの収益を生み出すことを企業に支援しており、この分野の最前線に立っている。Revmaticsは最近、より優れたAIを能動的に構築する自己改善型メタエージェント「Lumara」を発表した。

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「従来のAIシステムが人間によって設計されたタスクを実行するのに対し、Lumaraは、人間が設計した代替案を上回る新しいAIエージェントやエージェント型アーキテクチャを自律的に生成し、テストします」とバトラーは説明する。「これは、人間の行動に関するワールドモデル(世界の仕組みを理解するモデル)や、大規模な認知分析(cognitive analytics)などを実現するための重要な要素になります」。

「エージェント型システム全体が、現実世界のKPIや成果に直接ひもづけられる形で訓練・調整されています。その結果、AIの状況が急速に変化する中でも、また業界全体で発生するデータドリフト(データの特性変化)に対しても、企業を支援できます」と説明を続ける。「こうしたシステムの自己学習的な性質により、陳腐化を防ぐことができます。これはAIライフサイクル管理における中核的な課題で、人間の行動に関わる複雑なワールドモデルが現実世界のデータを取り込むことで生じる変化のスピードに適応するために不可欠なのです」。

こうした特性は、AIのパイロット導入の88%が本番運用に至らないという現状を踏まえると、特に重要である。マサチューセッツ工科大学(MIT)は、生成AIのパイロットでは失敗率がさらに高く、驚異的な95%に達すると報告している。これらの高い失敗率が、AI疲れの高まりにつながっている。AIツールを構築しようとする作業の負担という面でも、万能解を提供すると謳うAIツールやプラットフォームの数の多さという面でも、疲れを生み出している。

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「高額なAIエンジニアのチームを雇っても、必ずしも正しいものが作られるとは限りません。それよりもLumaraは、エージェントをその場で構築・デプロイし、分析し、洗練させていくのです。そうすることで、現在のAIエンジニアたちが市場に何かを出すよりもずっと早く、実戦で検証済みの高度に専門特化したエージェントを手にすることができます」とバトラーは語る。「Lumaraは、調達したテクノロジーを管理するエージェントも構築し、スピード、効率、インパクトの実現を支援します。Lumaraは元のビジネス課題から出発し、複数のテクノロジーとAIソリューションの組み合わせを調和させながら、現実世界でのインパクトに向けてシームレスにテストし、学習し、最適化していくのです」。

将来どこに向かうのかについて、バトラーは明確なビジョンを持っている。「現在、人は主に人間が設計したワークフローの中でLLM(大規模言語モデル)を使い、有限で離散的なステップを実行しています。今後は、私たちが目標を設定し、意図する目的を達成するための最適なステップはAIが見つけ出し、実行するようになるでしょう。人間を『実行者』から『目標設定者』へと変えることで、専門性の民主化を通じ、イノベーションを10倍に加速できるのです。このソリューションは、テストやイノベーションに取り組む機会を人生の立場として与えられた一部の人だけでなく、能力あるすべての人の手に、より広くイノベーションと改善の機会を行き渡らせる世界を生み出します」。

マーケティング、SaaS、物流など、大量のデータと迅速なフィードバックの機会を持つ業界では、早ければ2026年にもこの種のAI実装が大規模に進むとバトラーは見ている。豊富なデータエコシステムを持ちながら、追加の慎重さが必要なヘルスケアや金融といった分野は、その後の数年で続くことになるだろう。

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翻訳=酒匂寛

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