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2025.12.11 11:01

AIがインフラを自己構築する時代:2026年のポストAIエンジニアリング

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Gomboc AIのCEO兼共同創業者、イアン・アミット氏。

2026年までに、AIは単にインフラを記述するのを手伝うだけでなく、インフラそのものを進化させるようになる。第一世代のAIアシスト型コーディングは、ソフトウェア構築の方法を変えた。次の世代は、そのソフトウェアとその下にあるインフラが、どのように進化し、適応し、自己最適化するかを変えるだろう。この変化は避けられない。問題はもはやAIがインフラを管理できるかどうかではなく、私たちがそれを信頼できるかどうかだ。

支援から自律へ

生成AI時代は、コードスニペットを予測しボイラープレートコードを提案する支援型AIツールから始まった。現在、これらの同じ技術がテレメトリーデータや運用シグナルで訓練され、クラスターのサイズ変更、パイプラインのリファクタリング、構成ドリフトのリアルタイム予測が可能になっている。

インフラは静的な人工物から、運用上の好みを学習し、効率性、コスト、コンプライアンスのために自己書き換えを行う生きたシステムへと変わりつつある。しかし、より多くのタスクを自動化に委ねるにつれ、新たな緊張が生じる。スピードを最適化するシステムは、同じ速度でリスクを生み出すことが多い。監視のない効率性は脆弱性となる。

自己修正インフラの台頭

これはAI-as-Infrastructureの夜明けであり、TerraformやCloudFormationのようなコードベースがライブフィードバック、コストパフォーマンスのトレードオフ、変化するコンプライアンスポリシーに基づいて継続的に自己書き換えを行うモデルだ。

夜間に自動でサイズ変更するKubernetesクラスターや、新しい規制に応じて更新するポリシーエンジンは理論上は効率的に聞こえる。実際には、人間が追跡や監査できるよりも速く変化が起こる「不可視のドリフト」の可能性をもたらす。インフラが自己修正できるようになると、従来のDevOpsのガードレールでは不十分になる。この規模の自動化には、スピードだけでなく、管理するシステムの精度と説明責任に匹敵するガバナンスが必要だ。

信頼のギャップ

ここに核心的な課題がある:今日の生成AIは強力だが、本質的に信頼性に欠ける。その設計思想—次の最適なトークンを確率的に予測する仕組み—は一貫性ではなく創造性のために設計されている。

MITの研究が最近指摘したように、ハルシネーション(幻覚)は生成AIの機能不全ではなく、新しい応答を生成する方法の特徴だ。これがアイデア創出や言語処理において価値があるものの、インフラにとっては破滅的な理由だ。本番システムでは、「ほぼ正確」がアプリケーションを停止させ、コンプライアンスを破り、データを露出させる可能性がある。

だからこそ、クラウドセキュリティ、コンプライアンス自動化、構成管理などの決定論的領域に汎用AIモデルを適用する試みは常に不十分だった。確率論で本番環境を統治することはできない。

代替案は決定論的AIであり、同じ入力に対して毎回同じ検証可能な出力を生成する自動化だ。決定論的システムは推測せず、計算する。それらは精度と透明性をもってポリシーを適用し、監査可能で再現性のある結果を生成する。

これらを自律型インフラの免疫システムと考えよう:AIが駆動するあらゆる変更が本番環境に到達する前に継続的に検証し、環境が変異ではなく修復されることを保証する。

ポストAIエンジニアリングの設計

インフラがより知的になるにつれ、エンジニアリングも進化しなければならない。次世代のDevOpsは、自動化の範囲ではなく、そのコントロールの完全性によって定義されるだろう。

責任ある自律性の設計図は、3つの設計原則に基づいている:

人間定義の意図:エンジニアが望ましい状態と制約を設定し、AIはそれらの境界内でそれらを実施する。

決定論的な実施:すべての変更はデプロイ前にポリシーに合致していなければならない—例外なし、即興なし。

透明な最適化:AIが駆動する修正は観察可能、レビュー可能、そして元に戻せるものでなければならない。

これらの原則は、今日の反応的な「後で修正する」モデルを、積極的でポリシーに沿ったガバナンスに置き換える。人間の関与を排除するのではなく、それを高める。エンジニアは手動実行から戦略的意図の定義へと移行し、AIは実行が一貫性と説明責任を保つことを保証する。

2026年の設計図

2年後、DevOpsはアセンブリラインというよりエコシステムのようになるだろう。エンジニアは「何を」定義し、AIは「どのように」を実施する。インフラはパフォーマンス、コスト、コンプライアンスのために決定論的なガードレール内で自己最適化する。監査は年次ではなく継続的になる。コンプライアンスはチェックリストではなく、生きたシステムになる。

この世界で成功する組織は、最も速く自動化する組織ではなく、安全に自動化する組織だろう。決定論的システムにより、AIは制御を放棄することなく規模を拡大して構築できるようになる。

構築するマシンへの信頼構築

エンジニアリングにおける次の大きな飛躍は、より多くのコードを書くAIからではなく、システムを正しく保つAIから来るだろう。生成モデルは加速をもたらした;決定論的エージェントは保証をもたらすだろう。ポストAIエンジニアリングは、マシンにより速く構築することを教えることではなく、責任を持って構築することを教えることだ。そしてそれこそが、企業が信頼できる唯一の進歩の形だ。

forbes.com 原文

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